【町田市】先祖伝来の資産を一族で継承していきたい父の願いを家族信託で解決
Q:ゆくゆくは孫に家を相続させたい父をもつ(町田市)Eさんからのご相談例
先祖代々、わたしの一族は町田市に土地を構え生活してきました。曾祖父から祖父へ、祖父から父へと引き継いできた土地で、現在は年老いた父と60代の兄夫婦が三人で暮らしています。
次男のわたしですが、結婚して子供が生まれてから、孫の顔を見たがる父の誘いを受け、実家の近くに家を建てて住んでいます。
兄夫婦にはこどもがいないため、父と一緒にわたしの子供を我が子のように可愛がってくれています。
父も兄も、先祖伝来の土地はやはり一族で引き継いでいきたいと考えているようで、先日、兄からのちのちはわたしの子供に土地を相続させたいという話がありました。
兄に子供がいればまた話は違ったと思うのですが、年齢的にもこれから兄夫婦の間に子供が生まれることは難しく、養子縁組なども考えていないようで、夫婦で仲良く老後を過ごすつもりだと言っていました。
父は一族に引き継いでほしいというのが願いだけれども、一緒に住んでくれている兄嫁にも世話になっているし、もし長男が先に亡くなった場合に家から出なければならないようなことにはならないように、ひとまずは兄に相続してもらい、そののちは孫に引き継いでもらうのが理想的だと言っています。
子供はまだ小さいので先の話だと軽く聞いていたのですが、このような手続きは早くしておいたほうが良いと言われたので、どのようにすればいいのか知りたいです。
A:家族信託による二次相続を設定
先祖代々過ごしてきた土地には、それ相応の思い入れがあることでしょう。
Eさんのお父様の願いを息子さんたちが叶えるにはどのような方法が適しているのでしょうか。
まず、どのような相続を望まれているのか、Eさんのお父様の願いをまとめます。
・先祖伝来の土地を一族で受け継いでいきたい
・同居している長男夫婦に相続してもらいたい
・長男夫婦には子供がいないので、ゆくゆくは次男の子供(孫)に引き継いで欲しい
家督相続重視ですが、長男さんご夫婦にお子様がいらっしゃらないため、長男さんご夫婦が他界したあと、長男さんの奥様の親族へ財産が流出することが考えられるため対策が必要です。
一般的によくある遺言を利用する場合で考えてみましょう。
そもそも遺言とは、自分の財産を次は誰に渡すかを指定するものなので、一代の相続に関して効果があるので、Eさんのお父様の遺言ではお孫さんに相続を委ねることはできません。
まずは長男さんが相続し、長男さんが亡くなった場合は長男さんの奥様が相続する流れになります。
そしてこの場合、長男さんご夫婦にはお子様がいらっしゃらないため、もしも長男さんの奥様が亡くなった場合には、長男さんの奥様の一族に相続権が発生するので、財産の大半が一族外に流出してしまう恐れがあります。
確実にお孫さんに町田市の土地を相続させたいというのであれば、長男さんの奥様が次男さんのお子様に対してその土地を遺す旨の遺言が必要となります。
遺言でも、長男さんや奥様の間でも手続きすることはできるのですが、先のことはどのようになるかわからないものなので、Eさんのお父様がご存命の間に安心して頂けるよう、現段階でできる手続きとしてご紹介したいのが『家族信託』です。
『家族信託』とは、民法上の規定とは異なり、受益者を先の先まで指定することができるので、遺言と同じ機能を二次相続以降までもたらすことができます。
まず、財産を託すひと(委託者)はEさんのお父様です。
託したい財産は、先祖伝来の土地です。
そして、その土地を託す相手(受託者)を次男さんのお子様とします。
Eさんのお父さまと長男さんとその奥様は、受益を得る人(受益者)として設定することで、受益者連続型の信託契約とします。
Eさんのお父様がご存命の間は、土地からの収益を受けるのはお父様のままです。
お父様が亡くなったあと収益を受けられるのは第二受益者は長男さんとなり、さらに長男さんが亡くなった場合は第三受益者である奥様に受け継がれます。
長男さんの奥様が他界されたあとは、信託契約は解除となるので、残余財産の相続が次男さんのお子様になるように指定先に設定しておくと良いでしょう。
これで、一族の財産は直属のお孫さんへ継承されることとなり、外部への資産の流出を防ぐことができます。
Eさんのお父様がお元気なうちに、先のことを考え形にしておくことは、のちのちの親族トラブルを回避するためにもとても重要なことです。
先祖代々受け継いでこられた土地を大事に守ってこられた気持ちを大切になさって、ご家族の納得いく相続の形が見つかると良いですね。