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【相模原市】高齢な兄弟で共有している不動産の管理を家族信託で解決

Q: 不動産の共有所有と高齢化がもたらす問題について、相模原市のDさんからのご相談例

親が亡くなった際に、三兄弟でそれぞれ三分の一の割合で相続した共有財産があります。私は三兄弟の真ん中の次男で、もうすぐ70歳になります。年の離れた長男は80歳手前、弟も60代後半と高齢になったので、この共有不動産を今までどおり維持管理していけるのか、心配になってきました。

共有財産は、相模原にある賃貸マンションです。基本的には長男が管理をしており、私と弟は毎月分割された収益を受け取るだけで、管理運営を任せっぱなしにしていました。しかし、ここ最近長男の物忘れが多くなったと、長男の息子である甥から連絡があったこともあって、弟とともに長男に会いに行き、今後のことについて話し合うことにしました。

長男は以前と変わらぬ様子で元気そうに見えたので安心したのですが、やはり最近うっかりすることが増えたことを気にしており、これまで通り賃貸マンションを管理していけるかを不安に思っているようでした。しかし、私も弟もそれぞれ仕事をしているため、マンションの管理を手伝うことはできても長男の代わりとなって運営するのは難しいと感じていました。そんな中、長男の息子である甥が管理運営を手伝ってくれると申し出たので、お願いすることにしました。

長男の名義を甥に変えることも検討したのですが、これが長男にとっては唯一の収入源でもあるため、いつかは甥に相続させるつもりではあるものの、手放すのは心配だと言っていました。

マンションも老朽化してきているので、今後修繕なども必要となると思います。しかしながら、共有所有者の誰か一人でも認知症などになってしまうと面倒なことになると聞いたことがあるので、このままにしておくのも不安です。

長男の考えを尊重しつつ、共有所有のマンションを高齢者でも安心して管理していくには、どうすれば良いでしょうか。

A: 高齢者による共有不動産の管理を家族信託を活用して安心できるものにする

高齢者による不動産管理には様々な問題があり、Dさんのように共有で所有している方々が困難を感じていることが少なくありません。共有所有には、負担を分担できるメリットがあります。しかしながら、共同財産という性質上、管理を行うには所有者全員の意見が必要となり、大規模な修繕や売却を行う際には、問題が生じることがしばしばあります。

さらに、Dさんもご存じのように、認知症などにより判断能力を失った場合、その人の財産の管理をすることが出来なくなります。これは、共有財産においても同じで、総意を得られなくなると管理運営に支障が生じる恐れがあります。

マンションの管理は、居住者の生活に密接に関わるため、何か問題が生じたときに管理運営が滞ると、それが大きな問題となることもあります。そのため、事前に対策を立てておくことが重要と言えます。

では、今回のDさんのケースでは、どのような対策が必要でしょうか?

Dさんら三兄弟は賃貸マンションを共同所有しており、管理を行っている長男さんが高齢であり、管理運営能力に不安が生じています。しかし、賃貸マンションからの収益は長男さんにとって必要であり、手放したくないと考えています。

そこで提案するのが、家族信託という制度です。長男さんが保有するマンションの管理権のみを甥御さんに譲り、収益権は長男さんが保持するという形で信託契約を結ぶという方法です。

家族信託とは、「家族の、家族による、家族のための財産管理」のことを指します。信頼できる家族に財産の管理を託すための契約であり、正式には「民事信託」と呼ばれます。しかし、多くの場合、親子間で利用されるため、「家族信託」と呼ばれています。

家族信託は、成年後見制度よりも自由で柔軟な財産管理が可能で、認知症などにより判断能力が低下し、財産管理が制限されるリスクを避けるための有効な手段とされています。

次に、具体的な信託契約の内容を見てみましょう。まず、信託契約を依頼する委託者は長男さん、マンションを管理する権利を託す受託者は甥御さんとします。そして、マンションからの収益を受ける権利を持つ受益者は長男さんとします。

この設定により、マンションの収益は長男さんが引き続き受け取ることが可能となり、一方で、マンションの管理は甥御さんが代行できるようになります。つまり、Dさんや弟さんは今まで通り収益を受け取りつつ、甥御さんが管理するという形になります。

共同所有のマンションの大規模修繕や売却には、共有者全員の合意が必要となります。しかし、長男さんが認知症になったとしても、甥御さんが代行して判断できるため、甥御さんとDさん、弟さんの合意があれば、スムーズな不動産管理を行うことが可能となります。

甥御さんがモチベーションを持って管理を行うかどうか心配でならば、長男さんが亡くなったあとは、長男さんが受け取っていた収益権を甥御さんのもとに帰属するように設定することもできます。
甥御さんの収益を保障することによって、甥御さんに管理を任せることに対してDさんや弟さんが負い目をもつこともなくなります。

ただし、この家族信託は、財産を預けることができる信頼できる家族がいなければ利用が難しかったり、委託者が認知症になってしまってからでは契約が締結できないなど、条件やタイミングも大事になってきます。

家庭の事情や財産の状況は人それぞれいろいろなかたちがありますが、希望にあった信託契約を結ぶためにも、元気なうちに自分たちの望む資産管理の方法を話し合っておくことが大切です。

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