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【町田市】合意した遺産分配を家族信託で明確にしたい

Q:父の望む遺産の分け方をきちんとしたかたちにしたい(町田市)Iさんからのご相談例

先日、母の三回忌に家族みんなが集まる機会がありました。そのとき、父より財産の分配について家族でしっかり話し合っておきたいという提案がありました。

父は以前脳溢血で倒れた際、半身に麻痺が残ってしまったため、日常生活のお手伝いが必要となりました。
母が亡くなってからは、近くに住んでいたわたしの妹夫婦が同居してくれています。
日頃から妹に負担をかけているし介護費用もかかることもあるので、父としては妹に多く遺産を残したいという話でした。

長男であるわたしは、仕事の関係で海外に赴任することが多く、父のことを妹に任せたままになってしまっていることを心苦しく思っていたこともあるので、父の望む通りのかたちで相続をまとめたいと考えています。

父の資産は、自宅を含む不動産が二軒と預貯金になります。
わたしとしては遺産放棄でも良いのですが、父としてはなんらかのものは残したいと思っているようで、自宅と預貯金を妹に、不動産の1軒をわたしに相続してもらいたいそうです。

妹夫婦も父の望むようにすればいいと言っているので、父が元気な今のうちにきちんとしたかたちにしておきたいと思っています。

どのようなかたちにすればいいのか、なんらかの問題がないのかなど知りたいです。

A:家族信託による生前に行う遺産分割の方法

日頃、介助などで世話になっている娘に多く資産を残したいというお父様の希望を、お父様のお元気なうちにかたちにしたいという息子さん。
仲の良い家族がみんなで相談して決めた相続のかたちをしっかりしたものにするための手続きとして 家族信託をおすすめします。

遺言ではなく、推定相続人(この場合ですと長男のIさんと、妹さん)が合意したものを文書にしただけでは法律上で無効となります。

お父様に、家族みんなが合意した内容を記した遺言書を作成してもらうことで、相続のかたちを作ることもできますが、遺言はいつでも書き換えたり撤回することができてしまうので、きちんと確定したというかたちにはできません。

ですから、信託契約を活用して、生前の遺産分割協議を友好的に確定しましょう。
それでは、家族信託の内容を整理しましょう。

まず、信託するお父様の資産について。
お父様の資産は①ご自宅②不動産(現在は管理会社に管理を委託し、収益をお父様が受け取っている状態)③預貯金とします。
①ご自宅と③預貯金は妹さんに、②不動産は息子のIさんに継いでもらいたいとお父様が希望されており、妹さんもIさんも了承されているので、それぞれをお父様と信託契約を結びましょう。

それでは、お父様と息子のIさんとの家族信託について説明します。

委託者をお父様、受託者が息子のIさんとし、受益者はお父様として信託契約を締結します。
信託する財産は②不動産です。
これで、お父様が元気な間は②不動産の収益はお父様が今までとおり受け取ることができ、万が一、お父様が認知症などで判断能力が低下した場合、管理を任せている不動産への手続きをIさんが代用することができるので、管理会社との提携更新や売却などの手続きをIさんの判断で行うことができ、その収益をお父様のために使うことができます。
Iさんの名義になっている②不動産については、、お父様が亡くなった時に終了しⅠさんに財産が帰属する内容を入れることで、収益を受け取る権利もIさんのものとなります。

続いて、お父様と妹さんとの家族信託の場合は、
委託者をお父様、受託者を妹さん、 受益者はお父様、信託財産は①ご自宅③預貯金です。
Iさんと同じように信託契約は、お父様が亡くなった時に終了し、残った財産は妹さんに帰属する内容も付け加えます。
ご自宅や預貯金はこれまで通り、お父様が使うことができますし、もしお父様が入院したり認知症を発症したとしても、生活費や入院費などの支払いを、妹さんが委託された財産を管理して支払ってもらうことができるので、妹さんに金銭的負担をかけることなく安心して生活していくことができます。
残った財産は妹さんが相続するので、日頃介助などで世話になっている娘さんに、息子さんより多くの資産を譲ることができます。

また、それぞれの信託契約に「内容の変更はできない」という旨を定めておくことも重要です。

この家族信託は、生前の財産管理機能と遺言の代替機能を備えた内容となっており、家族の合意のもとに決めた内容を誰かひとりの判断で変更もできなくなっているので、将来の遺産分割内容を確定する効果もあります。

きちんとしたかたちにすることで、お父様も安心して生活することができ、妹さんも不安なく介護でき、Iさんも家族を気にすることなく海外でのお仕事を邁進することができるのではないでしょうか。
合意のあいだにしっかりとしたかたちを整え、家族信託を活用して、仲良く家族で暮らしていける環境を作っておきましょう。

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