【町田市】老後の面倒をみてくれる孫に資産を託したいという願いを家族信託で解決
Q:認知症が心配なので孫に資産を託したい(町田市)Tさんからのご相談例
私は町田に住む80代の女性です。夫とは何年か前に死別し、それからずっと孫と一緒に暮らしています。
私には息子が1人いるのですが、仕事の都合で海外を転々としています。息子の転勤に息子一家もしばらくは一緒について行っていたのですが、孫の高校進学のタイミングで夫が亡くなって私が一人になったこともあり、息子夫婦が海外に赴任している間は私の家で孫が一緒に生活をしてくれることになり、大学を卒業し就職した今でも一緒に住んでくれています。
孫が学生のうちに何度か帰国していた息子夫婦ですが、孫の就職を機にそのまま海外に在住することに決めたようです。
息子夫婦とはたまにしか会えなくなることはとても寂しいのですが、嬉しいことに孫は町田の近くに就職したこともあり、しばらくはまだ一緒に暮らしてくれると言ってくれています。
私も高齢なので、急な体調不良などで迷惑をかけるのではと心配なのですが、孫は何かあったときにすぐに対応できるから逆に安心してほしいと言ってくれます。
ですから、私に何かあったときに少しでも孫の負担を減らせるように、資産などの対応をしておきたいと考えました。
私の資産は亡くなった夫が残してくれた町田の自宅と預貯金です。
海外に住む息子夫婦は、私の財産なので好きなようにすればいいし、私に何かあったときは援助してくれると言ってくれているのですが、遠く離れた息子夫婦に負担をかけたくありませんし、もし入院するようなことになったとしても自分の資産で賄えると思っています。残った分は、できれば一緒に住んでくれている孫に譲るつもりです。どのように遺言などを残せば、孫に負担なく私の資産を残すことができるのでしょうか。
A:家族信託で親族への負担を減らすための対策
高齢者の一人暮らしは、今の世の中では何かと物騒ですので、お孫さんが一緒に暮らしてくれていると安心ですし、いろいろと助かることでしょう。優しいお孫さんの負担にならないように資産を譲る方法について、気を付けたいことなどを合わせて解説していきますので、是非参考になさってください。
まず、ご自宅をお孫さんに残したいということから、遺言を残す方法を考えていらっしゃるようですが、これだと亡くなった後のことを決めるだけになってしまいます。
例えばですが、もしTさんが認知症を発症したとします。進行が早かったりして何も手続きを行うことができていない状態で施設に入所することになった場合、入所の手続きをお孫さんが行ってくれたとして、その費用の負担をかけることになってしまいます。
Tさんの預貯金やご自宅を売却して入所費用にあてることは、基本的にはTさんご本人にしかできないことなので、勝手にお孫さんがTさんの貯金を下ろして支払いするようなことができないのです。認知症などで認定機能の低下が認められてしまうと、資産は凍結されてしまい、親族といえども簡単に動かすことができなくなります。
Tさんがご自身の資産でやりくりしたいとお考えならば、遺言ではなく、存命のうちに家族に資産を託すことができる『家族信託』という方法をおすすめします。
家族信託とは、「家族が家族のために結ぶ信託」で、高齢者や障がい者のための財産管理や資産の継承対策として注目されている信託です。
信託銀行などに資産を預けず、自分が最も信頼できる家族や親族に財産を託して、自分の希望するかたちでその財産の管理や運用をお願いすることができるので、費用を抑えて柔軟な対応をとることができるのが特徴です。
誰に、いつ、どのように、と資産運用を預ける人の希望に合わせて信託内容を指定することができるので、預ける方も預かった親族も納得して信託契約を結ぶことができます。
では、家族信託について詳しく解説していきます。家族信託に登場する3つの役割について、専門用語などを説明します。
①大切な財産を託す人(委託者)・・・Tさん
②託された財産を管理・運営する人(受託者)・・・お孫さん
③託された財産の利益を受け取る人(受益者)・・・Tさん
老後の健康リスクへの対策として家族信託を考えたとき、この③は委託する人=受益する人となるケースが多いです。Tさんが認知症と診断されたときや認定能力の低下が認められた場合、通院費や生活費にTさんの資産をお孫さんが使っても良いと決めておくことで、お孫さんの判断でTさんの資産を管理運用することができるのが、この信託契約なのです。
施設に入所することになってご自宅が空き家になったとしても、この信託契約があれば、お孫さんの判断でご自宅を売却してその売却資金をTさんの入所費用や生活費に充てることができるので、最近問題になっている空き家問題にも活用できます。
遺言で、亡くなったあとに資産を残すのではなく、生前に信頼できるお孫さんに資産を託すことによって、安心した老後を過ごすことができると思います。
お孫さんや息子さんご夫婦に負担をかけることなく、資産を整理し安心した生活を続けるためにも、元気なうちにご家族と相談して資産の管理を検討されると良いでしょう。
また、家族信託を検討される際には、専門家の意見も参考にすることが大切です。信託専門の弁護士や司法書士に相談することで、より適切な信託契約を結ぶことができます。
信託契約を結ぶ際には、具体的な信託内容を明確にし、すべての関係者が納得できる形で進めることが大切です。また、家族信託のメリットやデメリットも把握し、ご自身の状況に合った最適な方法を選択してください。
家族信託を活用することで、老後の資産管理や継承対策を円滑に進めることができます。お孫さんへの負担を軽減し、安心して資産を託すことができるよう、家族信託の活用を検討してみてください。