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【町田市】認知症に備えて家族信託で資産の凍結を回避する

Q:奥様の認知症が心配の(町田市)Uさんからのご相談例

私は定年退職後、妻と二人で過ごしてきましたが、最近妻の物忘れが多くなってきたこともあり、これからのことを相談したいと考えました。

私は70代で、妻はまだ60になったところです。妻がまだ若いので、あまり先のことは心配していませんでした。
しかし、年初めに、就職や結婚を機に独立していった息子と娘が帰省したのですが、久々に顔を合わせた妻の様子が少し違うと言ってきました。
毎日生活を共にしている私にはわからない違和感のようなものを、息子たちは感じたようで心配に思ったそうです。

そのことがきっかけとなり、今後のことを考えるようになったので、私たちが亡くなったあと、子どもたちに負担をかけないように準備を始めようと妻と相談しました。
息子も娘も結婚して他県に住んでいるので、介護などのために実家に戻ってもらうようなことがないように自分たちだけで生活を整えられるようにと考えています。

資産は、老後の蓄えとして準備していた預貯金が1000万ほどと、夫婦で暮らしている私名義の自宅です。
売れば2,300万ぐらいにはなると思うので、認知症などで施設に入所するときに預貯金で足りない分は自宅を売却したお金を充てようと考えていますが、もし、私が先に亡くなったり認知症になったときはどうすればよいのかと悩んでいます。

A:家族信託で認知症による資産凍結を回避する

10年ぐらい前の厚生労働省の研究班の発表したデータでは、日本全国で介護保険制度を利用している認知症の高齢者はおよそ280万人、介護保険を受けていない初期の認知症高齢者を含めると462万人、軽度認知障害とされている予備軍はさらに400万人はいるだろうと推計されていました。

2025年では700万人を超えると言われており、高齢者の5人に一人は認知症になると予測されていて、高齢社会の日本では認知症に向けた取り組みが今後もますます重要となることは間違いありません。
この認知症は、誰でもなりうるものなので、発症しても希望をもって日常生活を過ごしていけるような社会を創っていくことがとても大切です。

物忘れは、記憶障害や理解力や判断能力の低下などの症状のひとつで、認知症の前触れで起きることもあるので注意が必要です。

認知症になると、資産を活用するための意思表示や本人確認ができない状態とみなされてしまうため、金融資産が凍結されてしまい、相続人であったとしても預金を引き出すことができなくなってしまうのです。

この資産凍結に対応する方法として、【家族信託】をおすすめします。
家族信託とは、信頼できる家族に財産の管理を託すという信託契約です。

・資産は預貯金とご自宅
・Uさんご夫婦の生活の保全を目的

として、Uさんの家族が家族信託を活用した場合、どのようなかたちになるのかをご紹介します。

まず、信託契約を依頼する委託者をUさんとします。
信託する財産は、預貯金とご自宅です。
信託財産の利益を受ける人、受益者は第一にUさん、第二に奥様とします。
そして、Uさんが資産の管理をお願いする人を受託者といいますが、この受託者を息子さんとして家族信託を締結します。

受託者である息子さんは、Uさんご夫婦が快適に生活が過ごせるように預貯金を必要な範囲で交付し、Uさんご夫婦が希望する間自宅に住み続ける権利を守り、万が一、入所費用などのために自宅を売却すべきと判断すれば売却することができます。
息子さんが自分のために信託財産を使えるものではなく、受益者のために使うことができるのがこの契約のポイントです。

奥様を受託者としなかったのは、資産管理を任せるのは負担が大きいと考えたからです。
そのかわり、奥様の生活を保障するために、受益者として奥様を設定しておくことが重要です。

このように受益者にUさんや奥様を設定しておくことで、万が一、Uさんご夫婦が認知症を発症したり、急に入院するようなことがあったとしても、息子さんが資産を管理し、Uさんご夫婦のために使うことができるため、資産が凍結され、運用できなくて困るような事態を防ぐことができるのです。

今回は長男の息子さんに、資産を託すというかたちでまとめましたが、これは娘さんでも同じです。
息子さんや娘さんと一度話し合って、資産管理がしやすい、託しやすいご家族にお願いするのが良いと思います。

事前に、親の今後を子どもたちと話し合っておくことは、子どもたちにとっても大きなメリットがあります。
家族信託は、契約というかたちでUさんの意思を明確にし、どのように資産を運用してほしいかを伝えることができるのです。

また、家族信託は単なる口約束などとは違って、公証役場で認証してもらうことで強い拘束力をもった契約なので安心です。

不測の事態に慌てることなく、親族間で揉めることなく対処できるように、Uさんご夫婦がお元気な間に生前から相続後のことまでしっかり話し合うきっかけになれば幸いです。

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