【町田市】老朽化した共有不動産の悩みを家族信託で解決
Q:共有名義の不動産の老朽化が心配な(町田市)Sさんからのご相談例
私は町田市に姉妹3人で共有している不動産を所有しており、管理は基本的に長女である私が行っています。
30年ほど前に父から相続したマンションで、築年数も経っており、近いうちに建て替えか大規模な修繕が必要な状態なので、これからどうするか悩んでいます。
管理している私を筆頭に妹たちも80近くなりました。下の妹の健康面が心配だったり、また最近私も物忘れが増えてきたこともあり、この先いつどうなってもおかしくないので売却した方が良いのかと妹たちとも相談しています。
私は結婚していたのですが早くに夫を亡くしてしまい子どもがいませんが、下の妹にはひとり娘がいます。
姪は私たち姉妹ともとても仲が良く、日頃からひとりで暮らしている私たちのことを気遣ってくれており、マンションの管理も手伝ってくれています。
残すとすれば姪に譲ることになると思うのですが、現状の共有不動産はメリットデメリットがいろいろあるので、相続で揉めたりするようなことにならないようにしておきたいです。
仲の良い二人の妹や姪に迷惑をかけることがないように、できる対策はなにかないでしょうか。
A: 家族信託による共有名義の不動産の対策
共有名義の不動産を所有していることでよく耳にするトラブルは、共有名義人の総意を得られないため、スムーズに資産運用することができない、という問題です。
共有名義人全員の総意がなければ、共有不動産の売却や運用ができないのです。
例えば、Sさんの場合だと、3姉妹で共有されているマンションの大規模修繕が必要となったとき、妹さんのどちらかが反対すれば大規模修繕を行うことができません。反対なら話し合いで解決できるかもしれませんが、認知症などで判断能力が失われたとすると、その人の意見は無効となってしまうため、やはり総意が得られないということで資産を動かすことが難しくなります。
このようなトラブルを回避するためにも、姉妹の皆さんが仲良く元気に暮らしている今のうちに手を打ちましょう。
姉妹3人を委託者とし、マンションの収益を得られる受益者とし、姪御さんを受託者として信託契約を結ぶ方法があります。このような信頼できる家族に資産を託す信託契約を『家族信託』といいます。
この信託契約によって、将来、3姉妹のうちの誰か一人でも認知症などで判断能力の喪失が認められるような事態になったとしても、マンションの売却や大規模修繕などの管理を受託者である姪御さんの判断で行うことができます。
また、もしすぐにでも売却手続きを検討したとき、売却の条件をまとめたり交渉したりすることが負担に感じても、姪御さんが3姉妹に代わって交渉などを行える権限を持つことができます。さきほども解説したように、共有不動産の管理には共有名義人の総意が必要ですが、受託者が姪御さん一人なので、姪御さんの判断でスムーズにマンションの管理が可能です。
また、マンションの収益は今まで通り3姉妹が受け取ることができるのも特徴の一つです。もし、3姉妹の誰かが認知症などで施設に入所するようなことがあっても、管理を姪御さんが担ってくれるためこれまで通り収益を受け取ることができるため、金銭面に影響が出ることもありません。
老朽化したマンションの心配も、高齢化した3姉妹の生活も、姪御さんの協力のもと家族信託を活用することによって安心したものとなるでしょう。
不動産の共有化は問題の先送りにしかなりません。時間がたつことで、問題が大きくなってしまうこともあるので、Sさんの代で整理することを検討してみてはいかがでしょうか。