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【町田市】認知症の妻を守りつつ全財産を息子に譲りたいという悩みを家族信託で解決

Q:認知症の配偶者をもつ(町田市)Kさんからのご相談例

私には認知症の妻と、一人娘がいます。私より5才年上の妻は、80になる前から物忘れが多くなり、気づいたころには認知症を発症しており会話すら難しいほど進行していました。お風呂の介護など自宅で生活を続けるのが負担に感じた頃に、受け入れてくれる施設が見つかったため、今は施設で生活しています。

娘は私たち夫婦と一緒に住んでおり、家事の得意ではない私の代わりに仕事をしながらも家事全般を担ってくれているのでとても助かっています。母親の認知症が出始めたころも、進んで介護を手伝ってくれ、母親が施設に入った今でも休みのたびに施設に顔を出し、話し相手になったり細々とした用事をこなしてくれています。今のまま、父娘ふたりで生活を続けていければ良いのですが、私ももうすぐ妻が認知症を発症した80になります。認知症の進行の速さを目の当たりにしたこともあり、もし私も認知症になってしまったら優しい娘にさらに世話をかけることになるのではないか、施設に入所している妻や同居している娘の生活はどうなってしまうのかなど、これから先のことを考えるといろいろ心配でなりません。

私の所有する財産といえば、自宅と預貯金が少しある程度です。今の妻の状態では、資産を管理するのは難しいので、娘にすべての財産を譲りたいと考えています。その財産で妻の施設での生活の援助や、娘の生活の手助けができれば、これからの生活に対して少しは安心した気持ちで向き合えるのではないかと思っています。

私にもしものことがあったとき、せめて金銭面だけでも負担をかけないように贈与など良い方法がありましたら教えてください。

A:家族信託による配偶者認知症の対策

現在の社会では、65歳以上の5.4人に一人は認知症であるといわれています。
今後も高齢化がさらに進んでいくにつれ、認知症の患者数はさらに増えることは間違いありません。
団塊の世代が75歳以上になる2025年には認知症患者数は700万人前後に達するだろうと、厚労省も発表しているように、認知症は誰もがいつ発症してもおかしくはない時代なのです。

ですから、奥様の介護をされていたKさんがご自身の認知症について心配されるのは当然のことだと思います。
いざというときに、娘さんを困らせることがないように、Kさんが元気なうちに娘さんに負担をかけないように準備をすることはとても大切なことです。

認知症になり判断能力の低下が確認されると、資産管理は難しいと銀行などで判定され、誤って想定外の資産運用ができないように資産は凍結されます。
凍結された資産は、資産の名義人以外は利用することができないため、Kさんの場合では娘さんが代わりにということができません。
そうなると、Kさんの通院費や施設に入所する際の入所費用、すでに施設に入っている奥様の援助などを、娘さんがKさんの資産を活用して代わりに支えていくことができず、金銭面で大きな負担を強いることになりかねません。

そこで、活用したい方法は「家族信託」です。

この家族信託というものは、認知症などで財産の管理ができなくなった場合に備えて、信頼できる家族に自分の財産を預けて代わりに管理や処分をしてもらえるように権限を与えておく方法です。

家族に財産を託すので、基本的に高額な報酬などが発生しないのがおすすめする理由でもあります。
大きな富を持つ資産家だけでなく、誰でも気軽に利用できるため、近年利用者が増加している信託契約です。

家族信託には3つの役割を持つ登場人物がいます。

まず一人目は、信託を依頼する依頼者=委託者です。
財産の持ち主で、これから財産の管理や処分を誰かに任せたいと考えている人で、今回はKさんが委託者です。

二人目の登場人物は、受託者=託された財産を管理したり処分したりする人で、委託者の信頼する家族です。今回は娘さんが受託者となります。

そして三人目は、信託された財産から生じた利益、マンションの賃料や売却費などがそれにあたります。この利益を受け取る人=受益者です。
まず、Kさんが元気な間はKさんが受益者となり、貯金などを生活費に利用したり、奥様への援助に利用します。
Kさんが亡くなったりした場合は、奥様が次の受益者になるよう設定することも大切です。

これで、もしKさんが認知症を発症して判断能力の低下があり銀行などの資産が凍結されそうになったとしても、娘さんがKさんの資産を活用してKさんの生活を支えたり、奥様を援助することができます。
資産をどのように使って良いか、どのタイミングで自宅を売却するかなど、Kさんの希望を家族信託に盛り込むことで、より柔軟な相続の形をとることができるのもおすすめしたいポイントです。

家族信託のデメリットの一つとして、認知症を発症してしまうと、判断能力の低下や喪失の可能性があるとしてあらゆる契約ができなくなってしまうことです。
つまり、元気なうちしかできない制度なので、注意が必要です。

この仕組みを活用することによって、親が認知症になった場合でも財産の管理がスムーズに行われるので、受託者である娘さんに金銭的負担をかけることなく、日々を過ごしていけるでしょう。

娘さんとも相談の上、デメリットも考慮し元気なうちに、家族みんなが安心して生活していけるように準備しておきましょう。

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