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【町田市】残される家族の生活を守りたいという悩みを家族信託で解決

Q:世話をしてくれる娘に自宅を残したい(町田市)Nさんからのご相談例

私たち夫婦は結婚したあと、勤務先に近い町田に土地付きの戸建てを購入し、これまでもう50年ほど住んでいます。
息子と娘、子供がふたりいますが、息子は結婚して家を出ており、高齢の私たち夫婦に対して手が足りないことも多いだろうと思った娘が世話を引き受けてくれて、10年前にリフォームした自宅で私たち夫婦と三人で暮らしています。

普段は元気に過ごしているのですが、私たち夫婦が80近くなってから日によっては健康に不安を感じることも多くなってきました。
私が亡くなったあとは、自宅を妻に相続してもらって、住む場所に心配することなく安心して過ごしてほしいと考えていますが、私より健康的な妻も年を取っているので自宅の管理ができるか心配になることもあります。
もし妻が亡くなったあとは、一緒に住んで日々の生活を世話してくれた娘に譲りたいというのが私の希望です。

遺言など相続の形式はいろいろあるようですが、どのようにすれば私の望むような相続ができるか方法があれば教えてください。

A:家族信託による次の次の相続について考える

遺言を利用した場合を解説しますと、Nさんが遺言を残し自宅を奥様に相続してもらうことはできますが、奥様が亡くなったあと娘さんに譲る旨を指定することはできません。

遺言は自分の財産のみを指定できるもので、奥様が相続したあとは財産は奥様のものとなるため、Nさんの遺言ではそのあとのことまで指示することができないのです。

奥様が相続後、娘さんに譲るという内容の遺言を作成すれば良いのですが、奥様もご高齢ということで、管理が難しいと考えられる場合、きちんと遺言を残すことができるのか心配です。遺言は、判断能力がしっかりしているうちでないと作成できないのです。

もし、奥様が相続後に遺言を残すことができなかった場合、娘さんが自宅を相続するには、奥様が亡くなったあとに息子さんと娘さんで遺産分割協議が必要となります。
仲の良い家族でも、相続になると揉めることが多いのが実情です。
この遺産分割協議がまとまらないことで、空き家になってしまうことが問題視されています。

このような相続のトラブルを回避するには、遺言を依頼するより確かな方法をとったほうが良いでしょう。
ここでおすすめする方法は、「家族信託」を活用することです。

家族信託とは、信頼できる家族に大切な財産を託して管理してもらうことを目的とした制度です。
家族間で結ぶ契約なので高額な報酬が発生することも少なく、気軽に利用できるよう考えられたものです。
また、遺言は次の世代への相続についてのみ指定できるものでしたが、この家族信託はNさんのようにさらに次の世代の相続も指定することができます。

自分の大切な財産を誰に譲るか、どのように利用するかなど柔軟に内容を決めることができるのが、家族信託の利用者が年々増えている人気の理由でもあります。

家族信託を活用するとどうなるか、解説していきます。

まず、Nさんと娘さんとの間で家族信託契約を結びます。
信託契約を依頼する委託者をNさんとし、管理を預かる受託者を娘さんとした契約です。

その内容を大きなポイントに分けると3つあります。
①Nさんたちの住む自宅を信託財産として娘さんに託し、娘さんはNさんのために自宅の管理を行う
②Nさんが亡くなった場合は、娘さんがそのまま奥様のために自宅を管理する
③奥様が亡くなったあとは、自宅は管理していた娘さんが相続する

このことをまとめると、信託財産の利益を享受する受益者を、第一にNさんとし、Nさんが亡くなったあとの第二の受益者に奥様を指定します。
そして奥様が亡くなったあとの信託財産の帰属先を娘さんとします。

この家族信託契約を結ぶことで、自宅の名義は娘さんに代わり、娘さんが自宅の管理を行う権利を得ます。
もしNさんや奥様が認知症などで判断能力が低下したとしても、娘さんの判断で自宅を管理することができるので、資産運用のトラブルを避けることができます。
また、最終的に娘さんへ譲られるように指定されているので、判断能力が落ちた奥様が関わることなく、Nさんが亡くなったあとも奥様のために娘さんが管理を続けることができます。
また、奥様が遺言を残せなかったとしても、兄妹間で遺産分割協議を行わなくても良いので、無駄な相続トラブルを回避することができます。

もちろん、契約を結ぶ前に、家族間でしっかり話合うことも重要なことです。
息子さんを含め、家族でこれからの生活について考えることを共有し、いざというときにトラブルが起きないよう、元気なうちに事前に相続のかたちを考えましょう。

このように、家族信託を活用することでNさんのご希望に沿った相続が可能となります。各家庭の状況に応じて、適切な信託内容を選ぶことが重要です。

家族信託は専門的な知識を必要としますので、詳細な手続きや契約内容については専門家に相談することをおすすめします。

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