【相模原市】相続対策を継続するには家族信託
Q:子供に譲る予定の不動産による相続税が心配だという、相模原市Fさんからのご相談例
80も過ぎて、周りから相続や遺言についての話を聞くようになったので、身の回りの整理を少しずつはじめることにしました。
相模原にある自宅と、県外に3つ、わたし名義の土地を所有しています。
相模原の自宅には同じ年齢の妻と住んでいるので、管理はわたしがしていますが、県外の土地は3つともそれぞれ不動産会社にお願いして、管理委託をしてもらっています。
息子が三人いるので、わたしにもしものことがあった場合は、相模原の自宅は妻に、県外の土地は息子たちに一つずつ相続してもらえればと考えています。
また、土地は息子三人のそれぞれの名義で金融機関から融資を受けつつ、マンションでも建てて、その収益などを受けれるようにできれば安定した収入も得られるので良いのではないかとも思っています。
そのことを家族みんなに相談したところ、せっかく遺してもらっても高額な不動産は管理や相続税などが大変そうだと心配する意見があったのが気になったので、なにか節税などの対策ができればと思って相談しました。
手続きや対策などがあれば教えてください。
また、夫婦ともに高齢なので、認知症や介護などの不安もあります。
なにかあったときは、不動産以外の現金や預金などで病院や施設費用を賄っていくつもりではありますが、こちらのほうもなにか手続きしておくべきことがあるようなら知りたいです。
A:家族信託を活用して高額遺産の相続税を節税しましょう
財産額が大きい相続には、事前の対策が大きな効果を生みます。
遺言などで資産の分配などを整理しておく方法もありますが、遺言は亡くなったあとの贈与=相続についてのお約束なので相続税が順当に課税されます。
今回のお話では、相続にあたって資産の金額が大きいもののようですので、節税対策は重要だと考えられます。
せっかくTさんが不動産物件などの資産を遺してくださっても、莫大な相続税の支払いに終われ売却しなければいけないようなことになっては残念すぎます。
受け取った息子さんたちの負担にならないように、少しでも多く資産を遺してさしあげられるように、Tさんがお元気なうちに手続きしておくことはとても重要なことだと思います。
このような場合には、家族信託を活用して相続税を節税することをご提案します。
まず、Tさんが亡くなった場合を考えてみますと、Tさんの奥様と息子さん三人が相続の対象となります。
この場合、Tさんの奥様が相続する分は、相続税が軽減される配偶者控除という特別措置が用意されています。配偶者には相続税の負担が少なくて済むように軽減される法律で、ご存じのかたも多いのではないでしょうか。
ですから、Tさんが亡くなった場合の相続では、相続税の支払いにはそれほど困ることはないと思います。
しかし、そのあと、Tさんの奥様も亡くなって、息子さん三人が相続するときには配偶者控除という特別措置などが適用されないため、課税される相続税が高額になるだろうと考えられます。
ですから、Tさんが亡くなった場合というより、Tさんご夫婦が亡くなったあとの相続対策を検討する必要があります。
息子さんたちが相続されるとき、Tさんがご希望されておられるように、息子さんたちの名義で金融機関から融資を受けながら収益不動産を建築することを想定して、家族信託を活用した相続税の節税について解説していきます。
まず土地の1つ目ですが、委託者(お願いするひと)をTさん、受託者(お願いされるひと)を長男さんとします。
2つ目の土地は、同じように委託者をTさん、受託者を次男さんとします。
3つ目の土地は委託者がTさん、受託者は三男さんです。
これでそれぞれの土地の名義が息子さんたちとなります。
そしてそれぞれで金融機関との融資の手続きや、ハウスメーカーとの契約など、マンションのような収益物件が建設できるようにしておきましょう。
受益者(利益を受け取るひと)は、Tさんが亡くなるまではTさんに、そのあとはそれぞれ長男さん、次男さん、三男さんを第二次受益者とすることで、Tさんが亡くなるまでは今まで通り、土地での収益をTさんが受け取ることができます。
高齢のための身体的なご心配に関してですが、家族信託で土地の名義を息子さんたちに変更したことによって迅速に対応できるようになります。
なにも手続きしない間にTさんが認知症になってしまうと、土地や建物の建築や売買を奥様や息子さんたちにはできなくなってしまいます。
銀行での融資を受けられなくなったりすることもあるので、契約ができなくなるなど問題がおきてしまわないように、家族信託で対策しておくことが大切です。
施設入居費、入院費などは現金や預金でとのお話でしたが、預金も同じようにすぐに使えなくなってしまうので、預金の一部をのこしてこちらも家族信託で預けておくのも良いかもしれません。
Tさんが元気なあいだにご家族とも話合いをして、しっかりした節税対策&資産運用の対策を行いましょう。