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【相模原市】障害のある息子の生活を守るため家族信託を活用

Q:ひとり残される障害のある息子の生活支援に悩む(相模原市)Mさんからのご相談例

障害のある息子の将来が心配です。
わたしたち夫婦には一人息子がおりますが、生まれつき重い障害を持っているためひとりで生活できません。
これまではわたしたちが共に過ごし生活の面倒をみてきましたが、年をとってからは自分のことだけで体力的に精一杯なことも多く、親戚や周りの協力を借りて過ごしてきました。

わたしたちとは違い、息子はまだまだこれから人生を楽しんでいくことでしょう。
わたしたちにできることは、あとに残される息子がこれからも安定した生活ができるように、信頼できる人に資産を託し、息子のことをお願いしたいと考えています。

幸いなことに、いつも手伝ってくれている親戚で、わたしの従兄弟なのですが近くに住んでいることもあって、なにかあったときはと声をかけてくれています。

従兄弟Nに財産を託し、わたしたちが亡くなったあとの息子の生活が保障できるようにするにはどのような手続きをとれば良いのでしょうか。

A:家族信託による障がい者支援信託

障害のあるお子様を育てていくうえで、将来、自分たちがいなくなったあとに残される子供の生活がどうなるのかなど、これからのことを早くから検討しておくことはとても大切なことだと思います。
亡くなったあともそうですが、認知症になってしまったり不慮の事故などで思うように動けなくなってしまった場合のことも想定しておく必要があります。

このような場合、どういった方法があるのかいくつかご紹介します。

まず、遺言を活用する場合をご紹介します。
息子さんの面倒を看てもらう代わりに一部の財産を従兄弟のNさんに譲るという内容の遺言を残すという方法です。
負担付き遺贈では、財産の一部を譲ることで、Mさんご夫婦が亡くなったあとの息子さんのお世話を従兄弟Nさんにお願いすることができるのですが、一部とはいえ財産を譲ることになるので、少しでも多く息子さんに残してあげたいと思うならば最適な方法とはいえないでしょう。

従兄弟Nさんを介さずに、息子さんにご夫婦の財産をすべて譲るという方法もありますが、重い障害をもたれている息子さんに財産の管理は難しいと考えられます。
さらに、障がい者である息子さんには遺言を残すことができないため、もしも息子さんが亡くなった場合、残った財産は国庫に帰属してしまうため、親族に残すということもできなくなります。

また、遺言はMさんご夫婦が亡くなったあとに効果を生じるものなので、認知症や不慮の事故などでMさんご夫婦が動けなくなった場合には対応することができません。

i信頼できる親戚に財産を託し、息子さんの生活を保障するためには、信託の仕組みを活用した遺言では補いきれない財産管理方法が必要となります。

そこで今回Mさんご夫婦のご希望に一番沿った方法としてご紹介したいのが『家族信託』です。
家族信託を活用した場合について、詳しく説明していきます。

Mさんご夫婦と従兄弟のNさんとの間で、信託契約を締結します。
その内容として以下のとおり設定します。

・依頼する人(委託者)・・・Mさんご夫婦
・依頼を受ける人(受託者)・・・従兄弟のNさん
・信託する財産・・・Mさんご夫婦の財産
・財産の利益を受け取る人・・・Mさんご夫婦→亡くなったあとは息子さん
・信託契約の終了事由・・・息子さんが亡くなったら終了
・そのほかの追加事由・・・息子さんが亡くなった場合、財産の帰属先は従兄弟のNさんとする。

この信託契約によって、Mさんの財産を従兄弟のNさんに管理してもらい、息子さんの生活にかかる費用や通院費や介護費用などの支払いを任せることができます。

例えば、万が一、Mさんご夫婦が認知症や不慮の事故で息子さんのために動くことができなくなった場合でも、Mさんご夫婦にかかる生活費や入院費などの病院にかかる費用や施設に入所するようなことになった場合の支払いなども、従兄弟のNさんが信託財産を使って手続きすることができるうえ、滞りなく息子さんの生活を支援することもできます。

Mさんご夫婦が亡くなったあとも、財産を管理しているNさんが息子さんの支援を続けることが約束されているので、Mさんご夫婦も安心することができると思います。

息子さんのお世話をお願いするお礼というわけではありませんが、信託で息子さんが亡くなった場合の財産の帰属先を従兄弟のNさんに設定しておくことで、息子さんが亡くなりお世話の必要がなくなったあと残った財産をNさんに譲ることができます。

信託財産がきちんと希望するように使用されるか心配な場合は、信託監督人として司法書士を選任しておくと良いでしょう。
信託監督人が従兄弟のNさんを監査することで、適正な財産管理が行われているかチェックされるので、より安心できると思うのでおすすめします。

また、このような場合では、『後見制度』の併用も検討することで、より一層息子さんの身上看護面の強化が期待できると思います。

Mさんご夫婦が健康でお元気なうちに、大切な息子さんの将来の生活についての心配が解決されるよう、ご家族やご親戚と相談し、より希望に近い方法を探してください。

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