【相模原市】介護や入所費などの費用負担を家族信託で解決
Q:父の資産運用と介護負担について(相模原市)Oさんからのご相談例
年をとった父のこれからについて相談させてください。
わたしは神奈川県に生まれ、首都圏に本社のある企業に就職しましたが大阪支社に転属になってからそちらに居を構え、もうすぐ定年をむかえます。
相模原にある実家には年老いた父がひとりで暮らしており、町田に住む弟がちょこちょこ顔を出して、なにか手が必要なときには手伝ったりしているようです。
先日、弟から連絡があり、父の物忘れが増えたので心配だと相談されました。
足腰元気な父は、何年か前に母を亡くしてからもひとりで自由きままに生活していたのですが、玄関の鍵を締め忘れたり、うっかりコンロの火をつけたままにしてしまうことがあるようです。
まだ認知症というほどの状態ではないのですが、なにかあってからでは遅いですし、弟家族が一緒に住もうと話しているが父が実家を手放したがらないという話でした。
父は、施設に入所しなければいけなくなったときは、実家を処分して売却費をあてることは認めているそうです。
わたしは神奈川を離れてもう何年にもなりますし、盆正月にたまに帰る程度です。家族も大阪から離れたくないようなので、このまま弟にお願いするつもりですが、代わりに資金を援助しようにももうすぐ定年のためその後の生活が安定するかわからないのでなかなか言い出せない状態です。
父の面倒を自分がみることは出来ないので、
その代わりといってはなんですが、自分は父の財産を相続しないで構わないので
父の資産の管理を弟に任せて、最後は弟に相続してもらう良い方法はありませんか?
A:家族信託で介護などの費用負担を解消
家族信託とは、家族による家族のための財産管理の手法で、保有する不動産や預貯金などの資産を、信頼できる家族に託して、その管理や処分などを任せる仕組みです。
家族や親族に管理を託すので、第三者に託すより安心して託すことができます。また、家族や親族に託すメリットは他にも、高額な報酬が発生しないという点もあります。
そのため、資産家ではなくても、誰でも気軽に利用しやすい仕組みと言えるでしょう。
また、負担や制約の多い成年後見制度のように毎年家裁へ報告する義務はありません。
元気なうちに資産の管理や処分を託すことによって、元気なうちは自分の指示に基づく財産の管理を行い、万が一、認知症などによって判断能力が低下がみられた場合は、託した家族によって信託契約に指示した通りに財産管理を実行してもらうことができます。
また、資産の運用や不動産の売却や建築なども、託された家族の責任と判断で可能となるので、滞ることなくスムーズに運営することができます。
今回の場合では、お父さまは実家を手放したくないが、認知症などで住めなくなった場合は売っても良いと考えていらっしゃるとのことでした。
ですから、お父さまの預貯金とご実家を信託財産として、弟さんと家族信託を組むことをおすすめします。
依頼される委託者はお父さまで、信託財産を管理する受託者を弟さんとします。
お父さまが御元気なうちは預貯金などをお父さまの自由に使っていただいて、万が一のときは弟さんが管理します。
ご実家を売却するタイミングはお父さまとご相談なさったうえで指定しておきましょう。
例えば、認知症などで判断能力の低下がみられ、お父さまが施設に入所しなければいけなくなった場合や、介護や通院費など預貯金では賄いきれなくなった場合など、条件を指定することでお父さまのご希望に沿った資産管理ができます。
お父さまが亡くなった場合の信託財産の帰属先を弟さんに指定しておき、弟さんがお父さまの介護をしていただいた苦労に報いるかたちを作っておきましょう。
相続のかたちは家族ごとにそれぞれ違い、いろいろなかたちがあります。
介護などの負担は費用の面だけではありませんが、費用が大きな負担になることは間違いありません。
費用の心配なくお世話や介護ができると、心のモチベーションにも繋がり良い家族関係を続けることにも繋がります。
家族みんなが元気なうちに話し合って、より良い相続のかたちを見つけてください。