【相模原市】ひとりで暮らす自宅の処分を家族信託で解決
Q:ひとりで暮らす自宅マンションの管理や処分の時期に悩む(相模原市)Uさんからのご相談例
現在、自宅マンションに住んでいますが、これからどうすべきかに悩んでいます。
子どもが生まれたのを機に、相模原にあるマンションの1室を購入しました。娘が留学し、そのまま海外に在住しているので、しばらく主人とふたりで過ごしてきましたが、数年前に交通事故で主人が亡くなってからは一人で住んでいます。3LDKの間取りはひとりで生活するには少し持て余してしまうのですが、主人との思い出もありますし、たまに帰国する娘が泊まったりすることを考えると今すぐ処分をするとはなかなか考えられません。
しかし、マンションも購入してから30年以上経っていて、老朽化が少し心配です。今後大規模な修繕を行う予定もあるようです。
マンションにまだ問題なく生活できて、私自身が元気な間はこの自宅で暮らしていきたいのですが、もしひとりで生活できなくなったときは、施設へ入居するつもりです。年金や預貯金だけでは入所費用には足りないので、そうなったときは自宅を売却して施設費用に充てたいと考えています。
私は現在75歳なので、いつまでもこれまで通りにやっていけるとは思っていません。だからといって、遠く海外に住む娘に一緒に住んでもらうことは考えられないので、せめて私になにかあったときは管理や処分を代わりにお願いしたいと相談したところ、書類などの管理や手続きぐらいなら手伝えると言ってくれました。
成年後見はいろいろ不便が多いとトラブルを経験した友人から聞いたので、あまり利用したくありません。生前贈与も考えたのですが、施設入所費も必要ですし、税金もかかってしまうしと悩んでいます。娘に安心して管理を任せる良い方法はありませんか
A:家族信託による施設入所後の自宅の処分方法
認知症などで判断能力を失ってしまうと、自宅の売却や管理ができなくなってしまいます。Uさんの場合ですと、ご自宅マンションの老朽化が心配なので、いざというときに判断ができないと不都合が生じてしまうかもしれません。
このようなトラブルを回避するためにおすすめしたい方法は「家族信託」です。
家族信託とは、文字のとおり家族を信じて財産を託すという意味の信託契約の方法です。財産を託された家族が柔軟に財産の管理が行えるように設けられた制度なので、Uさんのようなケースでよく利用されている制度です。
この家族信託を設定しておくと、合法的に円滑な財産の管理や処分を行うことができます。
Uさんの場合では、ご自宅を信頼できる家族である娘さんに託すことで、娘さんはUさんのために託されたご自宅の管理や処分を行うことができるのです。
Uさんと娘さんで結ぶ家族信託は以下のとおりです。
まず、信託を依頼する委託者をUさんとします。
そして、Uさんの依頼した信託契約を受ける受託者は娘さんです。
信託財産から収入を得ることができる受益者はUさんにします。
Uさんが認知症などで判断能力の低下が認められたり、施設への入所を希望した際、信託財産であるご自宅の管理や処分をするのが難しいUさんのかわりに娘さんが行うことができます。
売却費用は、信託契約で決めた通りに使うことができるので、Uさんの希望を信託契約にいれておきましょう。
例えば、元気な間は自宅に住んでいたいので売却はせず、施設に入所するタイミングで売却して売却費用を施設入所費用や生活費に充てたい、などです。
委託者の希望した信託契約に則り、受託者が財産を管理処分することができるのが家族信託です。
この信託契約はUさんが判断能力の衰えなどなく御元気なうちに結ばなければいけないものなので、海外に暮らしていらっしゃる娘さんともご相談になったうえで、お早目に対策を検討することをおすすめします。