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【相模原市】高齢な兄弟で共有している不動産の管理を家族信託で解決
Q: 不動産の共有所有と高齢化がもたらす問題について、相模原市のDさんからのご相談例 親が亡くなった際に、三兄弟でそれぞれ三分の一の割合で相続した共有財産があります。私は三兄弟の真ん中の次男で、もうすぐ70歳になります。年の離れた長男は80歳手前、弟も60代後半と高齢になったので、この共有不動産を今までどおり維持管理していけるのか、心配になってきました。 共有財産は、相模原にある賃貸マンションです。基本的には長男が管理をしており、私と弟は毎月分割された収益を受け取るだけで、管理運営を任せっぱなしにしていました。しかし、ここ最近長男の物忘れが多くなったと、長男の息子である甥から連絡があったこともあって、弟とともに長男に会いに行き、今後のことについて話し合うことにしました。 長男は以前と変わらぬ様子で元気そうに見えたので安心したのですが、やはり最近うっかりすることが増えたことを気にしており、これまで通り賃貸マンションを管理していけるかを不安に思っているようでした。しかし、私も弟もそれぞれ仕事をしているため、マンションの管理を手伝うことはできても長男の代わりとなって運営するのは難しいと感じていました。そんな中、長男の息子である甥が管理運営を手伝ってくれると申し出たので、お願いすることにしました。 長男の名義を甥に変えることも検討したのですが、これが長男にとっては唯一の収入源でもあるため、いつかは甥に相続させるつもりではあるものの、手放すのは心配だと言っていました。 マンションも老朽化してきているので、今後修繕なども必要となると思います。しかしながら、共有所有者の誰か一人でも認知症などになってしまうと面倒なことになると聞いたことがあるので、このままにしておくのも不安です。 長男の考えを尊重しつつ、共有所有のマンションを高齢者でも安心して管理していくには、どうすれば良いでしょうか。 A: 高齢者による共有不動産の管理を家族信託を活用して安心できるものにする 高齢者による不動産管理には様々な問題があり、Dさんのように共有で所有している方々が困難を感じていることが少なくありません。共有所有には、負担を分担できるメリットがあります。しかしながら、共同財産という性質上、管理を行うには所有者全員の意見が必要となり、大規模な修繕や売却を行う際には、問題が生じることがしばしばあります。 さらに、Dさんもご存じのように、認知症などにより判断能力を失った場合、その人の財産の管理をすることが出来なくなります。これは、共有財産においても同じで、総意を得られなくなると管理運営に支障が生じる恐れがあります。 マンションの管理は、居住者の生活に密接に関わるため、何か問題が生じたときに管理運営が滞ると、それが大きな問題となることもあります。そのため、事前に対策を立てておくことが重要と言えます。 では、今回のDさんのケースでは、どのような対策が必要でしょうか? Dさんら三兄弟は賃貸マンションを共同所有しており、管理を行っている長男さんが高齢であり、管理運営能力に不安が生じています。しかし、賃貸マンションからの収益は長男さんにとって必要であり、手放したくないと考えています。 そこで提案するのが、家族信託という制度です。長男さんが保有するマンションの管理権のみを甥御さんに譲り、収益権は長男さんが保持するという形で信託契約を結ぶという方法です。 家族信託とは、「家族の、家族による、家族のための財産管理」のことを指します。信頼できる家族に財産の管理を託すための契約であり、正式には「民事信託」と呼ばれます。しかし、多くの場合、親子間で利用されるため、「家族信託」と呼ばれています。 家族信託は、成年後見制度よりも自由で柔軟な財産管理が可能で、認知症などにより判断能力が低下し、財産管理が制限されるリスクを避けるための有効な手段とされています。 次に、具体的な信託契約の内容を見てみましょう。まず、信託契約を依頼する委託者は長男さん、マンションを管理する権利を託す受託者は甥御さんとします。そして、マンションからの収益を受ける権利を持つ受益者は長男さんとします。 この設定により、マンションの収益は長男さんが引き続き受け取ることが可能となり、一方で、マンションの管理は甥御さんが代行できるようになります。つまり、Dさんや弟さんは今まで通り収益を受け取りつつ、甥御さんが管理するという形になります。 共同所有のマンションの大規模修繕や売却には、共有者全員の合意が必要となります。しかし、長男さんが認知症になったとしても、甥御さんが代行して判断できるため、甥御さんとDさん、弟さんの合意があれば、スムーズな不動産管理を行うことが可能となります。 甥御さんがモチベーションを持って管理を行うかどうか心配でならば、長男さんが亡くなったあとは、長男さんが受け取っていた収益権を甥御さんのもとに帰属するように設定することもできます。 甥御さんの収益を保障することによって、甥御さんに管理を任せることに対してDさんや弟さんが負い目をもつこともなくなります。 ただし、この家族信託は、財産を預けることができる信頼できる家族がいなければ利用が難しかったり、委託者が認知症になってしまってからでは契約が締結できないなど、条件やタイミングも大事になってきます。 家庭の事情や財産の状況は人それぞれいろいろなかたちがありますが、希望にあった信託契約を結ぶためにも、元気なうちに自分たちの望む資産管理の方法を話し合っておくことが大切です。
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【相模原市】高齢の父のために費用をかけずに今後の準備をしたいという悩みを家族信託で解決
Q:高齢の父親の認知症と資産管理、どう対処すべきでしょうか? わたしには離れて暮らす高齢の父がいます。 母はわたしがこどもの頃に病気で亡くなり、兄妹もいないので、それからは父子ふたりで助け合って生きてきました。 神奈川県の相模原に父の生まれ育った家があり、父は仕事を定年退職したあと趣味の土いじりを楽しみたいとひとりでその家で暮らしています。 わたしは相模原から通勤するのは時間がかかるので、都内にある社宅で一人暮らしをしています。 相模原の父のもとには休みの日に時々顔を出しているのですが、最近、父の物忘れが増えてきたような気がします。 父も良い年ですし、今は元気でもいつなにがあっても不思議ではありません。 認知症などを発症する前にきちんと今後のことを考えようと、父とふたりでいろいろと調べたのですが、認知症になった場合の資産の管理など、難しい情報が多く、どのような方法をとるのが良いのかわかりません。 相模原の家は老朽化が進んでいて、父が亡くなったあとにわたしが住むのは難しい状況です。 ただ、父は元気な間は今の生活を続けたいようで、すぐの処分は考えていませんが、もし父になにかあったときは処分を任されています。 成年後見制度や遺言など、どのような手続きが必要かを知りたいです。 父は日々の生活は年金や預貯金を使っており、わたしも収入があまり安定していないので、費用のかかる手続きは難しいと思っています。 維持しやすい方法があれば教えてください。 A:家族信託で費用を抑えた相続の準備 認知症などで意思能力を喪失してしまうと、契約や遺言などいろいろな法律行為を行うことができなくなります。この「意思能力」とは、法律上の判断において自己の行為の結果を判断できる能力のことです。自分の財産を誰に託したいか、どう使ってほしいかなど有効な意思表示ができるかどうかは、法律行為を行ううえでとても重要です。 資産の所有者が判断能力を喪失している状態では悪用されてしまう恐れがあるため、判断能力が不十分だと銀行などで判断されると、口座からの出金を停止するなどの資産凍結措置をとられることがあります。そうなると、たとえ家族であっても預貯金を引き出すことはできません。不動産などの売買契約なども無効とされることがあります。 そうなると、子どもであるRさんが、認知症になってしまったお父さまの通院などに必要なお金をお父さま名義の口座から引き出して利用することができず、必要な費用をRさんが肩代わりすることになるでしょう。いざ、お金が必要なときにすぐに必要な金額を準備できないなどといったことを避けるために、物忘れが多くなったお父さまが元気な間に、これからのことを考えた手続きが必要です。 成年後見制度という方法もあるのですが、このようなケースで最近利用者が多い方法は「家族信託」というものです。家族信託は成年後見制度とは違う財産を管理する方法です。成年後見制度より初期費用はかかるのですが、維持費用がほとんどかからないため、総合的に見ると費用を安く抑えられる方法だといえます。初期費用は契約者であるお父さまが負担することもできるので、それほど負担なくRさんが契約を維持できる方法でもあります。 依頼者である「委託者」が、所有する財産を信頼できる人「受託者」に託して、一定の目的に従ってその財産を管理運用したり処分してもらう仕組みが「信託」です。 この委託者と受託者が信頼できる親族関係である制度を「家族信託」といいます。 財産から生じる利益を受ける「受益者」を含め、信託契約には3つの役割が必要です。認知症対策に家族信託を活用するとき、ほとんどの場合で委託者と受益者が同一人物です。管理する所有権だけを受託者に託す方法で、信託財産の実質的な所有者は受益者なので、受託者に対して贈与税が課税されることはありません。また、受託者に与えられた所有権は、信託契約で定められた信託目的達成のために受益者に対し誠実に信託財産を管理するというものなので、受託者が自分のために信託財産を使うことはできません。委託者は信頼できる親族に安心して財産を託し、管理してもらう制度が家族信託なのです。 委託者・受益者をお父さま、受託者をRさんとし、相模原の土地家屋とお父さまの預貯金を信託財産とした家族信託を設定しましょう。お父さまの認知症が進み、判断能力の低下などから一人で生活することが難しくなっても、Rさんが代わりに相模原の土地家屋を売却し、お父さまが施設に入所する費用に充てることができます。お父さまのためにお父さまの資産をRさんが迅速に対応するには、家族信託が最適といえるでしょう。 どのようなことが心配で、どのようにしていきたいか、お父さまが元気なうちに財産管理について準備することは、安心した老後を過ごすために必要なことです。 しっかりお互いの要望を聞くことで、信託目的をしっかり定めることができ、家族みんなが安心して納得できる契約が成立します。Rさん親子が安心してこれからも暮らしていけるような手続きができるよう、早めにご相談ください。
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【相模原市】ひとりで暮らす自宅の処分を家族信託で解決
Q:ひとりで暮らす自宅マンションの管理や処分の時期に悩む(相模原市)Uさんからのご相談例 現在、自宅マンションに住んでいますが、これからどうすべきかに悩んでいます。 子どもが生まれたのを機に、相模原にあるマンションの1室を購入しました。娘が留学し、そのまま海外に在住しているので、しばらく主人とふたりで過ごしてきましたが、数年前に交通事故で主人が亡くなってからは一人で住んでいます。3LDKの間取りはひとりで生活するには少し持て余してしまうのですが、主人との思い出もありますし、たまに帰国する娘が泊まったりすることを考えると今すぐ処分をするとはなかなか考えられません。 しかし、マンションも購入してから30年以上経っていて、老朽化が少し心配です。今後大規模な修繕を行う予定もあるようです。 マンションにまだ問題なく生活できて、私自身が元気な間はこの自宅で暮らしていきたいのですが、もしひとりで生活できなくなったときは、施設へ入居するつもりです。年金や預貯金だけでは入所費用には足りないので、そうなったときは自宅を売却して施設費用に充てたいと考えています。 私は現在75歳なので、いつまでもこれまで通りにやっていけるとは思っていません。だからといって、遠く海外に住む娘に一緒に住んでもらうことは考えられないので、せめて私になにかあったときは管理や処分を代わりにお願いしたいと相談したところ、書類などの管理や手続きぐらいなら手伝えると言ってくれました。 成年後見はいろいろ不便が多いとトラブルを経験した友人から聞いたので、あまり利用したくありません。生前贈与も考えたのですが、施設入所費も必要ですし、税金もかかってしまうしと悩んでいます。娘に安心して管理を任せる良い方法はありませんか A:家族信託による施設入所後の自宅の処分方法 認知症などで判断能力を失ってしまうと、自宅の売却や管理ができなくなってしまいます。Uさんの場合ですと、ご自宅マンションの老朽化が心配なので、いざというときに判断ができないと不都合が生じてしまうかもしれません。 このようなトラブルを回避するためにおすすめしたい方法は「家族信託」です。 家族信託とは、文字のとおり家族を信じて財産を託すという意味の信託契約の方法です。財産を託された家族が柔軟に財産の管理が行えるように設けられた制度なので、Uさんのようなケースでよく利用されている制度です。 この家族信託を設定しておくと、合法的に円滑な財産の管理や処分を行うことができます。 Uさんの場合では、ご自宅を信頼できる家族である娘さんに託すことで、娘さんはUさんのために託されたご自宅の管理や処分を行うことができるのです。 Uさんと娘さんで結ぶ家族信託は以下のとおりです。 まず、信託を依頼する委託者をUさんとします。 そして、Uさんの依頼した信託契約を受ける受託者は娘さんです。 信託財産から収入を得ることができる受益者はUさんにします。 Uさんが認知症などで判断能力の低下が認められたり、施設への入所を希望した際、信託財産であるご自宅の管理や処分をするのが難しいUさんのかわりに娘さんが行うことができます。 売却費用は、信託契約で決めた通りに使うことができるので、Uさんの希望を信託契約にいれておきましょう。 例えば、元気な間は自宅に住んでいたいので売却はせず、施設に入所するタイミングで売却して売却費用を施設入所費用や生活費に充てたい、などです。 委託者の希望した信託契約に則り、受託者が財産を管理処分することができるのが家族信託です。 この信託契約はUさんが判断能力の衰えなどなく御元気なうちに結ばなければいけないものなので、海外に暮らしていらっしゃる娘さんともご相談になったうえで、お早目に対策を検討することをおすすめします。
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【相模原市】独居高齢者の悩みを家族信託で解決
Q:高齢者の一人暮らしで不便を感じる(相模原市)Dさんからのご相談例 わたしはこれまで結婚したことはなく、ずっと一人で生活しており、子どももいません。 幸いなことに天職とも思える仕事と出会い、定年してからも関連先で仕事を続けてきました。 そのため、とくに不自由もなく生活していたのですが、先日、うっかり階段を踏み外して骨折し入院することになってしまいました。 これまで大きな怪我や病気になることなく過ごしてきたため、困ることなくひとりで生活してこれましたが、入院してみて初めて一人暮らしの不便さを感じることとなりました。 病院での手続きや、入院中に必要なものの準備、周囲への連絡や、留守にしている間の自宅の管理など、多少動きに支障がある程度の骨折でもいろいろと大変だったので、万が一、大きな病気にかかり寝たきりになったり長期入院するようなことになったらどうすればいいのかっと、これからの生活が不安になりました。 わたしの両親はすでに他界しており、兄が一人いたのですが年が離れていたこともあり、すでに亡くなっています。 わたしの身内といえるのは兄の一人息子である甥だけで、わたしの住んでいる相模原から離れたところに住んでいるのですが、今回入院した際は何度も見舞いに来てくれて、いろいろな手続きなど動けないわたしの代わりに行ってくれました。 甥は、唯一の身内だから助け合うのは当然だと言ってくれてますが、唯一の身内だからこそ迷惑をかけたくありません。 もし、わたしが認知症などになったときは、貯金やわたしの所有する自宅を売却した費用で施設に入居できればと考えていて、できるかぎり、甥の世話になることなく老後を過ごしたいのですが、それでも負担をかけてしまうのではないかと心配しています。 わたしが亡くなったあと、残った資産があればこの甥に譲るつもりです。 これからも、安心してひとりで暮らしていけるように、少しでも懸念されるようなリスクを回避する方法があれば教えてください。 A:家族信託で高齢者の一人暮らしリスクを軽減 ひとりで暮らしていると、いざというときに頼れる相手がいなくて困ることがよくあります。 優しい甥御さんに心配や負担をかけたくないお気持ちもよくわかります。 ただ、所有者が認知症になると、土地や建物などの不動産などの管理や運用ができなくなってしまいます。 もし、Dさんが認知症を発症してしまうと、施設に入所するために自宅を売却して資金を得ようとしても、売却手続きすることができない可能性が高いです。 Dさんが動けないようであれば、唯一の身内である甥御さんが代わりにと考えておられるでかもしれませんが、そのときにはDさんの口座や資産は凍結されてしまうため、甥御さんが代わりに自宅の売却手続きや口座から現金を引き落とすことはできません。 そうなると、甥御さんに一時的に金銭的負担を強いることになるかもしれません。 このように認知症などで資産凍結した場合などの対策としておすすめなのが『家族信託』です。 最近、認知症リスクなどの備えとして、家族や親族に財産を託す、この『家族信託』という仕組みが注目されています。 信託の内容を簡単に説明すると、 信託をお願いする人を委託者といい、今回の場合ではDさんになります。 財産を預かって、委託者の望むように売却などの管理を行う受託者が甥御さんです。 そして、信託する財産の利益を受け取るひとを受益者といい、Dさんにします。 どんな財産をどのように運用するかなど、Dさんの希望を信託を結ぶときに決めておきます。 例えば、認知症や長期入院で施設に入居する場合は、預貯金を利用し、足りない場合は相模原の自宅を売却してその資金を入所費用にしてほしい、などです。 自分が一番信頼できる家族だからこそ、安心して財産の管理や資産の運用を任すことができるうえ、他の第三者に財産内容を知られることがなく安全です。 家族信託の良い点として、家族構成や財産の内容に応じて柔軟に契約形態をつくることができるという特徴があります。 成年後見人制度と比べると、制約が少ないので財産運用など多様に対応できる点も注目されている理由のひとつです。 また、遺言などの機能も担えるため、今後家族信託を活用する財産管理が増えると考えられています。 ただし、この家族信託を活用するには、意思や判断能力のあるうちに締結しなければいけません。 認知症と診断されてからでは対応できないため、元気なうちにどのような資産運用をしてもらいたいか、甥御さんとゆっくりとご相談されてみてはいかがでしょうか。 信頼できる家族に管理や資産運用を託しておき、認知症発症後も安心して暮らせるように、財産が有効活用されるように準備しておくことはとても大切なことなので、是非検討してみてください。
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【相模原市】相続で土地の分散を避けたい悩みを家族信託で解決
Q:資産の分散を避けたい(相模原市)Aさんからのご相談例 先祖代々受け継いできた土地をどう相続していくかと悩んでいます。 わたしの家は、古くから続く家系で相模原の一角に土地を所有しています。 代々相続していくうちに、所有している土地は減っていき、わたしの実家を囲むようにあった親族の家もほとんど残っておらず、実家一帯の土地だけは後世に受け継いでいきたいと願っています。 わたしが所有しているのは、実家のある区画と不動産資産として運営しているマンションが一棟あります。 何年か前に妻を先に亡くしましたが、子どもは息子と娘と一人ずついます。 息子は実家の敷地に離れを建て、そこで嫁子と住んでいますが、わたしの仕事の手伝いもしてもらっていることもあって、ほぼ一緒に住んでいるような感じです。 娘は、他県に勤めに出て、そのまま結婚して家を出ており、遠方なこともあって季節の挨拶を交わす程度で顔を合わすことがほとんどありません。 年を取るにつれて物忘れも増え、息子のフォローがないと仕事も難しく感じることが増えたため、そろそろ息子に跡を譲ろうと考え、相続について考えるようになりました。 うちの土地は代々受け継がれてきたものなので、できればこのまま子々孫々残していきたいと思っています。 わたしの資産といえるのは、土地とマンションの収益で、老後のためにとわずかながら貯蓄はあります。 子どもたちとわたしの状況から、息子に土地を与えるのが良いと思っていますが、そうなると貯蓄分だけでは娘に遺留分として渡せるほどの金額には足りないでしょう。 足りない場合、息子が自分の貯蓄を持ち出すことになると思いますが、それで足りなければ土地を少し売却することになるかもしれません。 息子や娘とも相談したところ、息子はわたしの思うようにすれば良いと言ってくれました。娘のほうからは遠方に嫁いだため手伝いなどは難しいけれど、兄だけ優遇されているようでそれを不満に感じることもあるようです。 離れて暮らしていても、同じ子どもなので娘にいくばくかの資産を遺してあげたいのですが、土地を減らすようなことは避けたいですし、マンション経営もこれまで手伝ってくれた息子に管理してもらうのが良いと思うので悩んでいます。 兄妹の不和を招くようなことにならないように、娘も納得できるような相続の方法はないでしょうか。 A:家族信託による土地の名義分散を回避 先祖代々続いてきた土地を守ることは、一族の資産を守ることでもあります。 土地を維持し続けることは税金対策や相続問題もある現代社会においてはなかなか難しいです。 Aさんのように相続人が複数いる場合、土地をそれぞれ分けて相続したり、他の相続人に対して遺留分を支払うことで相続するひとを絞る方法が多いですが、そうなるとやはり土地の分散のリスクが高くなるのでAさんのご希望から考えるとおすすめできません。 共有名義で相続する方法もありますが、管理するときに名義人全員の総意が必要となるため、売却手続きを行いたいときや不動産の大規模修繕などを行うときにトラブルが起きることが多いため、兄妹の不和を招きたくないと考えていらっしゃるのなら違う方法が良いでしょう。 息子さんが土地とマンションを相続した場合、娘さんに支払う遺留分が問題となりますが、そこをマンションの収益から遺留分として一定金額を付与するというのはいかがでしょうか。 Aさんの物忘れが多くなったということですが、これから先、認知症などの心配も出てきます。 認知症の発症率はとても高く、いつどのタイミングで発症するかわかりません。 認知症となり認定能力の低下が認められると、資産は凍結され不動産の管理や売買などもできなくなります。 所有者が健康な間に事業を継承することで、資産を効率的に活用することができます。 マンションの収益を息子さんに管理してもらい、収益の中から遺留分相応額を娘さんが受け取れるように指定するには『家族信託』がおすすめです。 家族信託とは、自分の老後や介護が必要となったときに備えて、自身が保有する不動産や預貯金などの資産を信頼できる家族や親族に託して、その管理や処分などを任せることができる制度です。 それだけではなく、遺言以上に幅広い遺産の継承が可能であるという特徴もあります。 まず、信託財産はマンションと実家のある土地家屋とし、 信託を依頼する委託者をAさんとします。 財産の管理をお願いする相手として、受託者を息子さんにします。 マンションから得る収益は、元気な間はAさんが受け取れるように受益者として設定し、Aさんの死後は遺留分相応額の金額を娘さんが受け取れるように指定しましょう。 息子さんは収益からマンションの管理を行いつつ、一部を娘さんが受け取れるようにします。 もし、Aさんが認知症などで資産が凍結されたとしても、マンションや土地家屋は息子さんに信託しているので、息子さんの判断で運営管理することができます。 Aさんが施設に入所することになった場合の資金としてマンションの収益を利用したいなど、資産の運用方法を希望することもできるので、好みに応じた相続のかたちを整えることもできます。 家族信託は、自分の大切な財産を自分の希望通りに管理したり継承させることができる制度です。 一度、自分だけではなく家族の将来のために、ご自身が望む財産管理や財産継承はどのようなものなのかを考えてみてはいかがでしょうか。
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【相模原市】介護や入所費などの費用負担を家族信託で解決
Q:父の資産運用と介護負担について(相模原市)Oさんからのご相談例 年をとった父のこれからについて相談させてください。 わたしは神奈川県に生まれ、首都圏に本社のある企業に就職しましたが大阪支社に転属になってからそちらに居を構え、もうすぐ定年をむかえます。 相模原にある実家には年老いた父がひとりで暮らしており、町田に住む弟がちょこちょこ顔を出して、なにか手が必要なときには手伝ったりしているようです。 先日、弟から連絡があり、父の物忘れが増えたので心配だと相談されました。 足腰元気な父は、何年か前に母を亡くしてからもひとりで自由きままに生活していたのですが、玄関の鍵を締め忘れたり、うっかりコンロの火をつけたままにしてしまうことがあるようです。 まだ認知症というほどの状態ではないのですが、なにかあってからでは遅いですし、弟家族が一緒に住もうと話しているが父が実家を手放したがらないという話でした。 父は、施設に入所しなければいけなくなったときは、実家を処分して売却費をあてることは認めているそうです。 わたしは神奈川を離れてもう何年にもなりますし、盆正月にたまに帰る程度です。家族も大阪から離れたくないようなので、このまま弟にお願いするつもりですが、代わりに資金を援助しようにももうすぐ定年のためその後の生活が安定するかわからないのでなかなか言い出せない状態です。 父の面倒を自分がみることは出来ないので、 その代わりといってはなんですが、自分は父の財産を相続しないで構わないので 父の資産の管理を弟に任せて、最後は弟に相続してもらう良い方法はありませんか? A:家族信託で介護などの費用負担を解消 家族信託とは、家族による家族のための財産管理の手法で、保有する不動産や預貯金などの資産を、信頼できる家族に託して、その管理や処分などを任せる仕組みです。 家族や親族に管理を託すので、第三者に託すより安心して託すことができます。また、家族や親族に託すメリットは他にも、高額な報酬が発生しないという点もあります。 そのため、資産家ではなくても、誰でも気軽に利用しやすい仕組みと言えるでしょう。 また、負担や制約の多い成年後見制度のように毎年家裁へ報告する義務はありません。 元気なうちに資産の管理や処分を託すことによって、元気なうちは自分の指示に基づく財産の管理を行い、万が一、認知症などによって判断能力が低下がみられた場合は、託した家族によって信託契約に指示した通りに財産管理を実行してもらうことができます。 また、資産の運用や不動産の売却や建築なども、託された家族の責任と判断で可能となるので、滞ることなくスムーズに運営することができます。 今回の場合では、お父さまは実家を手放したくないが、認知症などで住めなくなった場合は売っても良いと考えていらっしゃるとのことでした。 ですから、お父さまの預貯金とご実家を信託財産として、弟さんと家族信託を組むことをおすすめします。 依頼される委託者はお父さまで、信託財産を管理する受託者を弟さんとします。 お父さまが御元気なうちは預貯金などをお父さまの自由に使っていただいて、万が一のときは弟さんが管理します。 ご実家を売却するタイミングはお父さまとご相談なさったうえで指定しておきましょう。 例えば、認知症などで判断能力の低下がみられ、お父さまが施設に入所しなければいけなくなった場合や、介護や通院費など預貯金では賄いきれなくなった場合など、条件を指定することでお父さまのご希望に沿った資産管理ができます。 お父さまが亡くなった場合の信託財産の帰属先を弟さんに指定しておき、弟さんがお父さまの介護をしていただいた苦労に報いるかたちを作っておきましょう。 相続のかたちは家族ごとにそれぞれ違い、いろいろなかたちがあります。 介護などの負担は費用の面だけではありませんが、費用が大きな負担になることは間違いありません。 費用の心配なくお世話や介護ができると、心のモチベーションにも繋がり良い家族関係を続けることにも繋がります。 家族みんなが元気なうちに話し合って、より良い相続のかたちを見つけてください。
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【相模原】株の相続と遺留分を家族信託で解決
Q:株を譲りたいが遺留分が心配な(相模原市)Oさんからのご相談例 わたしは、規模は小さいですが株式会社を経営しております。 家族は、数年前に妻を亡くしましたが、こどもがふたりいます。 現在はわたしの会社に勤務している息子夫婦の家で同居しており、都内に嫁いだ娘は、家業とは関わることなく生活してきました。 そろそろ息子に後継者として引き継いでいこうと、業務を任せることも増えてきたので、今後のことを検討することにしました。 わたしが亡くなったときは、人事のこともあるので、会社の株はすべて息子に譲りたいと考えています。 しかし、わたしには経営している会社の株以外、残せるような財産がありません。 妻の闘病が長かったため、預貯金のほとんどを入院費や介護費などに充てたため、残せるような現金がそれほどありません。 そのため、会社の株を息子に譲った場合、娘から遺留分を請求されたときはどうすればいいか悩んでいます。 わたしの預貯金は少なく、息子はわたしと一緒に住めるように家を建ててくれたローンがあり、子どもも生まれたところなので遺留分を支払うことは難しいでしょう。 株を少し渡すことも考えたのですが、会社が小さいこともあり、経営や人事のことを考えると、できれば、会社に関わっていない娘に株を渡して経営権を分散させるようなことは避けたいと思っています。 娘の夫が同じ系統の職種についていることもあり、娘はそうでなくても、娘の夫が進んで経営に関わってきてなんらかの揉め事になるようなことが想定されるようなことは回避したいのです。 株を分散させることなく、遺留分について対策できるいい方法があれば教えてください。 A:家族信託による事業継承の遺留分対策 遺言などで株などの財産を息子さんだけに譲るとします。 そうすると、同じOさんのこどもなのに、息子さんはもらえて自分だけ遺産がもらえないのはおかしい!と娘さんは納得がいかず不満に思うかもしれません。 そうすると、[遺留分]という「最低限度の財産」を娘さんも受け取ることができる法律があるので、それを請求する権利があるのです。 娘さんに遺留分を請求されたとき、相続している息子さんは娘さんに対して、受け取った遺産を法律で決められた分を配分しなければいけません。 株だけ譲り受けていた場合は、その株の一部を譲渡することもできるのですが、株を分散させたくないならばそれ相応の現金を代わりにわたす必要があります。 息子さんが安心して経営していくために、株を売るつもりも手放すつもりもないならば、会社の規模によって金額の差がありますが、ある程度のお金が必要になるでしょう。 そうなると、息子さんは金銭的負担を生じ、会社の経営に支障をきたす可能性も出てきます。 ですから、会社を代替えするときには、遺留分についても事前に確認することがとても大切なのです。 株には二種類の機能があり、Oさんの心配されているような「人事権」=会社の人事に関する権限をもち経営判断する機能と、「受益権」=株の配当や売却による利益を得る権利というものがあります。 この機能をわけて考えることで、相続するひとが求めるかたちに整えることができるのが【家族信託】です。 息子さんが後継者として会社経営に関わっていくならば、この「人事権」は手放すことができない権利です。 人事権を掌握してない状態で社長に就任すると、いつ役職を下ろされるかわからない状態では安心することができないでしょうから、安定した経営を続けるには後継者が株を所有しているということがポイントとなります。 財産的価値があるのは、株の「受益権」の機能のほうです。 遺留分を請求された際に、こちらの「お金をもらえる権利の一部」を娘さんに譲り、収益を受け取れるようにします。 このように娘さんが遺留分相当の金額を受け取れるように設定すれば、株そのものを譲ることなく対応することができるのです。 家族信託を使った信託の内容としては、以下の通りです。 Oさんの所有する株を信託財産とし、信託契約を結びます。 財産を託したいと依頼する[委託者]がOさんです。 信託財産である株を託された[受託者]である息子さんが、株を管理して後継者として会社運営を行います。 株の売買や配当金などの収益を受け取る[受益者]は、信託設定時はOさんとして、Oさんが亡くなったあとは息子さんと娘さんが[受益者]となるように信託契約を定めましょう。 遺留分に対応するぐらいの収益を娘さんが受け取れるように設定すれば、遺留分減殺請求をされる可能性も少なくなります。 このように家族信託を用いることで、株を分配することを回避しつつ、息子さんは遺留分相当の多額な金銭を用意する必要もなく、遺留分に対応した事業継承をおこなうことができます。 遺留分のトラブルを防ぐことによって、姉弟間の関係が壊れることも防ぐことができます。 家族信託を活用して、遺留分にも対応しましょう。
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【相模原市】障害のある子供の生活保障を家族信託でその兄妹に託したい
Q:(相模原市)Gさんからのご相談例 わたしには40代と30代の娘がふたりいます。長女は生まれつき遺伝子の障害を持っており、自立した生活を送るのは難しく、わたしの所有する実家で共に生活しています。 長女の世話を中心で行っていた妻が亡くなってからは、周りの手を借りながらわたしが面倒をみています。 自分で世話ができるかぎり長女の面倒をみるつもりでいますが、わたしも年をとってきて身体が思うように動かなくなってして、これからのことが心配になってきて、もし万が一のことがあった場合は、次女に手伝ってほしいと考えています。 しかし、次女はすでに結婚して家を出ており、まだ小さい子供もいるので、わたしが現在行っているような世話をすることは難しいとわかっています。 次女には次女の生活があるので、次女に過度な負担をかけることなく長女の生活を保障するような、なにか良い方法はないでしょうか。 A:家族信託による障害のあるこどもの生活を保障する対策 ひとりで障害のあるお子様のお世話をしていると、将来のことが不安になるかたは多いです。 ここで問題となるのは、障害をもつ長女さんに対して、お父さまであるGさんの遺言では長期的に財産の給付を行うことが難しいということです。 また、後見人制度では、Gさんが万が一認知症などを発症して長女さんのお世話を行うことが難しくなった場合、Gさんの財産を維持することが重要とされてしまうため、長女さんに対する生活の保障という点では心配です。 Gさんと長女さんふたりに対して後見人制度の利用も検討しなければいけませんが、現状はGさんもお元気な状況なので、利用は難しく、長女にも現段階で後見制度を利用するのはご家族のご意向と費用の面で断念致しました。 長期に渡っての保障を考慮し、必要コストを抑えた方法としてご提案できるのは『家族信託』という信託契約を活用する方法です。 『家族信託』とは、財産を『信用できる家族』に託す契約で、遺言と違い生前から活用できるシステムです。 Gさんの財産を、長女さんに対して使ってもらう約束で、次女さんに託すというものです。 それでは詳しくわかりやすく説明していきます。 信託契約をお願いする人を『委託者』といい、Gさんがそれに該当します。 信託する財産は、Gさんの所有する自宅や貯金などの資産とします。 その資産を預かって活用する人を『受託者』といい、次女さんに担ってもらいます。 もし、Gさんが認知症を発症したり、亡くなってしまった場合、その資産を長女さんのために使ってもらえるように、『受益者』はまずGさんに、Gさんが亡くなったあとは長女さんが定期的に財産の給付を受けれるように指定しておきましょう。 また、次女さんに対して、長女さんの世話をする人を選定して訪問介護などの契約ができるようにしておくようにしましょう。 これで、長女さんは定期的な収入を得て次女さんが選んだ人に介護してもらうことができ、次女さんはGさんの資産を管理するというかたちで協力するかたちになるので、介護などの過度な負担がかかることなく自分の生活を過ごすことができます。 資産に長女さんの生活や介護にかかる費用以上に余裕があるようなら、次女さんに対しても一定の報酬を支払うことができれば、次女さん的にも長女さんのために資産管理をすることについて責任をもって行うことができるでしょう。 Gさんの判断能力に低下がみられたりすると、このような信託契約を結ぶことが難しくなり、Gさんの代わりに次女さんが資産を管理してGさんの通院費や長女さんの生活費などを捻出することもできないので、Gさんがお元気な間に、娘さんたちと将来のことについて相談してはいかがでしょうか。
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【相模原市】こどもがいない夫婦が悩む相続問題を家族信託で解決
Q:夫の次は自分の甥に相続させたい(相模原市)Bさんからのご相談例 うちには子どもがいません。今は夫と二人で相模原にある自宅で暮らししています。 わたしが祖母から受け継いだ土地が町田にあって、その土地を借地として人に貸しているので、毎月入ってくる賃料で生活しています。 夫もわたしも年金がもらえる年齢になったので、これを機に相続について考えることにしました。 はじめに言ったとおり、わたしは子どもに恵まれなかったので、もし、わたしが先に亡くなってしまったとしたら、土地は夫に相続してほしいと考えています。 しかし、土地を相続した夫が亡くなってしまったあとのことを考えて、悩んでいます。 夫には弟がひとりいるのですが、ご両親が亡くなった時に揉めてしまい、それから疎遠になっています。 金銭面にルーズな性格をされているようで、多額の借金があったのをご両親が預貯金から代わりに返済したことがあり、相続のときにもひと悶着あったようです。 そのような経緯があったため、大好きだった祖母から譲り受けた大事な土地を夫の弟一家に譲ることに抵抗があります。 わたしにも妹がいたのですが、妹は何年か前に亡くなっているので、その息子の甥に譲れたらと思っています。 妹が亡くなったときも、ずっと妹の看病でそばに付き添ってくれた心優しい甥なので、きっと祖母の土地も大切にしてくれるでしょう。 夫は遺産を弟一家に渡すつもりはないから、もし夫が亡くなった場合は甥に残す旨の遺言を作成するつもりだと言っていますが、わたしが亡くなったあとの話なので、いつどうなるかわからないため不安があります。 わたしが土地を夫に遺す遺言を作成するときに、そのあとを甥に託したいと記しておけば大丈夫でしょうか。 祖母から受け継いだ大事な土地を、夫の親族に譲ることは防ぎたいです。 どのような方法がありますか? A:家族信託による信頼できる家族に託して財産流出を防ぐ 子どものいないご夫婦の間では、お互いを相続人として遺言を作成することが多いです。 しかし、今回のような場合は、遺言では解決することがなかなか難しいです。 まず、Bさんが遺す遺言は「わたしが亡くなったあとは、土地を夫に遺します」というものになります。 遺言は自分が亡くなったあと、誰に譲りたいかを指示するものなので、「夫が亡くなったあとは甥に相続してほしい」とその次を指定することができません。 夫も「自分が亡くなったあとは、妻のBさんに譲る」と遺言を遺していたとしても、土地を相続したときにはBさんが亡くなったあとなので、この遺言は無効となってしまい、夫の資産は弟一家が相続することになります。 夫さんが、自分が亡くなった後に遺産を甥さんに譲りたい場合は、新たに「自分が亡くなった時は、土地を甥に譲る」という遺言を別に作成する必要があります。 遺言でBさんの土地を夫→甥に相続させるなら、この手順になるのですが、遺言というのは書き換えることも書き忘れることもあるので、確実に希望通りの相続ができるというものではありません。 Bさんの土地を夫の弟さんが相続することを防ぎ、無事に甥に遺すためには遺言ではなく家族信託を活用するのが良いでしょう。 家族信託とは、信託銀行を通さず個人間でする信託で、信託といいますが、投資信託のようなものではありません。 自分が財産を管理できなくなったときに備えて、信頼できる家族や親族に、自分の財産を守ってもらう契約です。 この契約を結ぶことによって、もし自分が病気になっても、亡くなったとしても、自分の大切なひとを守ることができるのです。 家族信託では、次の役割を決めます。 資産を託したい人・・・委託者 資産を託される人、管理していく人・・・受託者 資産を託されることで利益を受ける人・・・受益者 この受益者は、遺言とは違い、何世代も先のことも指定できるので、自分が亡くなったら夫へ、夫がなくなったら甥へと指定することができる、そんな契約もできるのです。 作成については家族信託の専門家に相談して、実現したい想いを伝えて契約書を作ってもらい、それを公正証書にしてもらいましょう。 それでは、どのような内容の契約書を作成すれば良いか、確認しましょう。 今回ポイントとなるのは、Bさんが所有する土地の賃料を Bさん→夫→甥 という順番に受け取れるようにすることでしょう。 ここでおすすめしたいのは、受託者を夫ではなく甥にすることです。 名義がBさんのままだと、Bさんが亡くなったとき、相続の手続きが必要となります。受託者を夫にした場合でも、夫が亡くなったときに同じように相続の手続きが必要です。 受託者を甥に設定し、土地の名義を甥に移しておけば、Bさんや夫が亡くなっても相続手続きは必要なくなります。 登記簿には信託で名義が移った記録がのこります。 委託者はBさんです。 第一受益者をBさん、第二受益者を夫としておき、夫が亡くなった時点で信託契約を終わるようにします。 信託契約に設定しておくことで、Bさんがお元気なうちは今までとおりBさんが賃料を受け取り、Bさんが亡くなったときは代わりに夫が受け取れるようになります。 夫が亡くなったら信託契約は終了するので、その土地は名義人の甥が受け継ぐことができ、夫の弟一家に渡ることはありません。 家族信託は信頼できる家族を選んで託すことができるものです。 思い出のある大好きなご先祖より受け継いだ土地を、大事な家族に受け継いでもらえるように家族信託を活用してください。
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【相模原市】障害のある息子の生活を守るため家族信託を活用
Q:ひとり残される障害のある息子の生活支援に悩む(相模原市)Mさんからのご相談例 障害のある息子の将来が心配です。 わたしたち夫婦には一人息子がおりますが、生まれつき重い障害を持っているためひとりで生活できません。 これまではわたしたちが共に過ごし生活の面倒をみてきましたが、年をとってからは自分のことだけで体力的に精一杯なことも多く、親戚や周りの協力を借りて過ごしてきました。 わたしたちとは違い、息子はまだまだこれから人生を楽しんでいくことでしょう。 わたしたちにできることは、あとに残される息子がこれからも安定した生活ができるように、信頼できる人に資産を託し、息子のことをお願いしたいと考えています。 幸いなことに、いつも手伝ってくれている親戚で、わたしの従兄弟なのですが近くに住んでいることもあって、なにかあったときはと声をかけてくれています。 従兄弟Nに財産を託し、わたしたちが亡くなったあとの息子の生活が保障できるようにするにはどのような手続きをとれば良いのでしょうか。 A:家族信託による障がい者支援信託 障害のあるお子様を育てていくうえで、将来、自分たちがいなくなったあとに残される子供の生活がどうなるのかなど、これからのことを早くから検討しておくことはとても大切なことだと思います。 亡くなったあともそうですが、認知症になってしまったり不慮の事故などで思うように動けなくなってしまった場合のことも想定しておく必要があります。 このような場合、どういった方法があるのかいくつかご紹介します。 まず、遺言を活用する場合をご紹介します。 息子さんの面倒を看てもらう代わりに一部の財産を従兄弟のNさんに譲るという内容の遺言を残すという方法です。 負担付き遺贈では、財産の一部を譲ることで、Mさんご夫婦が亡くなったあとの息子さんのお世話を従兄弟Nさんにお願いすることができるのですが、一部とはいえ財産を譲ることになるので、少しでも多く息子さんに残してあげたいと思うならば最適な方法とはいえないでしょう。 従兄弟Nさんを介さずに、息子さんにご夫婦の財産をすべて譲るという方法もありますが、重い障害をもたれている息子さんに財産の管理は難しいと考えられます。 さらに、障がい者である息子さんには遺言を残すことができないため、もしも息子さんが亡くなった場合、残った財産は国庫に帰属してしまうため、親族に残すということもできなくなります。 また、遺言はMさんご夫婦が亡くなったあとに効果を生じるものなので、認知症や不慮の事故などでMさんご夫婦が動けなくなった場合には対応することができません。 i信頼できる親戚に財産を託し、息子さんの生活を保障するためには、信託の仕組みを活用した遺言では補いきれない財産管理方法が必要となります。 そこで今回Mさんご夫婦のご希望に一番沿った方法としてご紹介したいのが『家族信託』です。 家族信託を活用した場合について、詳しく説明していきます。 Mさんご夫婦と従兄弟のNさんとの間で、信託契約を締結します。 その内容として以下のとおり設定します。 ・依頼する人(委託者)・・・Mさんご夫婦 ・依頼を受ける人(受託者)・・・従兄弟のNさん ・信託する財産・・・Mさんご夫婦の財産 ・財産の利益を受け取る人・・・Mさんご夫婦→亡くなったあとは息子さん ・信託契約の終了事由・・・息子さんが亡くなったら終了 ・そのほかの追加事由・・・息子さんが亡くなった場合、財産の帰属先は従兄弟のNさんとする。 この信託契約によって、Mさんの財産を従兄弟のNさんに管理してもらい、息子さんの生活にかかる費用や通院費や介護費用などの支払いを任せることができます。 例えば、万が一、Mさんご夫婦が認知症や不慮の事故で息子さんのために動くことができなくなった場合でも、Mさんご夫婦にかかる生活費や入院費などの病院にかかる費用や施設に入所するようなことになった場合の支払いなども、従兄弟のNさんが信託財産を使って手続きすることができるうえ、滞りなく息子さんの生活を支援することもできます。 Mさんご夫婦が亡くなったあとも、財産を管理しているNさんが息子さんの支援を続けることが約束されているので、Mさんご夫婦も安心することができると思います。 息子さんのお世話をお願いするお礼というわけではありませんが、信託で息子さんが亡くなった場合の財産の帰属先を従兄弟のNさんに設定しておくことで、息子さんが亡くなりお世話の必要がなくなったあと残った財産をNさんに譲ることができます。 信託財産がきちんと希望するように使用されるか心配な場合は、信託監督人として司法書士を選任しておくと良いでしょう。 信託監督人が従兄弟のNさんを監査することで、適正な財産管理が行われているかチェックされるので、より安心できると思うのでおすすめします。 また、このような場合では、『後見制度』の併用も検討することで、より一層息子さんの身上看護面の強化が期待できると思います。 Mさんご夫婦が健康でお元気なうちに、大切な息子さんの将来の生活についての心配が解決されるよう、ご家族やご親戚と相談し、より希望に近い方法を探してください。