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【町田市】認知症に備えて家族信託で資産の凍結を回避する
Q:奥様の認知症が心配の(町田市)Uさんからのご相談例 私は定年退職後、妻と二人で過ごしてきましたが、最近妻の物忘れが多くなってきたこともあり、これからのことを相談したいと考えました。 私は70代で、妻はまだ60になったところです。妻がまだ若いので、あまり先のことは心配していませんでした。 しかし、年初めに、就職や結婚を機に独立していった息子と娘が帰省したのですが、久々に顔を合わせた妻の様子が少し違うと言ってきました。 毎日生活を共にしている私にはわからない違和感のようなものを、息子たちは感じたようで心配に思ったそうです。 そのことがきっかけとなり、今後のことを考えるようになったので、私たちが亡くなったあと、子どもたちに負担をかけないように準備を始めようと妻と相談しました。 息子も娘も結婚して他県に住んでいるので、介護などのために実家に戻ってもらうようなことがないように自分たちだけで生活を整えられるようにと考えています。 資産は、老後の蓄えとして準備していた預貯金が1000万ほどと、夫婦で暮らしている私名義の自宅です。 売れば2,300万ぐらいにはなると思うので、認知症などで施設に入所するときに預貯金で足りない分は自宅を売却したお金を充てようと考えていますが、もし、私が先に亡くなったり認知症になったときはどうすればよいのかと悩んでいます。 A:家族信託で認知症による資産凍結を回避する 10年ぐらい前の厚生労働省の研究班の発表したデータでは、日本全国で介護保険制度を利用している認知症の高齢者はおよそ280万人、介護保険を受けていない初期の認知症高齢者を含めると462万人、軽度認知障害とされている予備軍はさらに400万人はいるだろうと推計されていました。 2025年では700万人を超えると言われており、高齢者の5人に一人は認知症になると予測されていて、高齢社会の日本では認知症に向けた取り組みが今後もますます重要となることは間違いありません。 この認知症は、誰でもなりうるものなので、発症しても希望をもって日常生活を過ごしていけるような社会を創っていくことがとても大切です。 物忘れは、記憶障害や理解力や判断能力の低下などの症状のひとつで、認知症の前触れで起きることもあるので注意が必要です。 認知症になると、資産を活用するための意思表示や本人確認ができない状態とみなされてしまうため、金融資産が凍結されてしまい、相続人であったとしても預金を引き出すことができなくなってしまうのです。 この資産凍結に対応する方法として、【家族信託】をおすすめします。 家族信託とは、信頼できる家族に財産の管理を託すという信託契約です。 ・資産は預貯金とご自宅 ・Uさんご夫婦の生活の保全を目的 として、Uさんの家族が家族信託を活用した場合、どのようなかたちになるのかをご紹介します。 まず、信託契約を依頼する委託者をUさんとします。 信託する財産は、預貯金とご自宅です。 信託財産の利益を受ける人、受益者は第一にUさん、第二に奥様とします。 そして、Uさんが資産の管理をお願いする人を受託者といいますが、この受託者を息子さんとして家族信託を締結します。 受託者である息子さんは、Uさんご夫婦が快適に生活が過ごせるように預貯金を必要な範囲で交付し、Uさんご夫婦が希望する間自宅に住み続ける権利を守り、万が一、入所費用などのために自宅を売却すべきと判断すれば売却することができます。 息子さんが自分のために信託財産を使えるものではなく、受益者のために使うことができるのがこの契約のポイントです。 奥様を受託者としなかったのは、資産管理を任せるのは負担が大きいと考えたからです。 そのかわり、奥様の生活を保障するために、受益者として奥様を設定しておくことが重要です。 このように受益者にUさんや奥様を設定しておくことで、万が一、Uさんご夫婦が認知症を発症したり、急に入院するようなことがあったとしても、息子さんが資産を管理し、Uさんご夫婦のために使うことができるため、資産が凍結され、運用できなくて困るような事態を防ぐことができるのです。 今回は長男の息子さんに、資産を託すというかたちでまとめましたが、これは娘さんでも同じです。 息子さんや娘さんと一度話し合って、資産管理がしやすい、託しやすいご家族にお願いするのが良いと思います。 事前に、親の今後を子どもたちと話し合っておくことは、子どもたちにとっても大きなメリットがあります。 家族信託は、契約というかたちでUさんの意思を明確にし、どのように資産を運用してほしいかを伝えることができるのです。 また、家族信託は単なる口約束などとは違って、公証役場で認証してもらうことで強い拘束力をもった契約なので安心です。 不測の事態に慌てることなく、親族間で揉めることなく対処できるように、Uさんご夫婦がお元気な間に生前から相続後のことまでしっかり話し合うきっかけになれば幸いです。
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【町田市】老後の面倒をみてくれる孫に資産を託したいという願いを家族信託で解決
Q:認知症が心配なので孫に資産を託したい(町田市)Tさんからのご相談例 私は町田に住む80代の女性です。夫とは何年か前に死別し、それからずっと孫と一緒に暮らしています。 私には息子が1人いるのですが、仕事の都合で海外を転々としています。息子の転勤に息子一家もしばらくは一緒について行っていたのですが、孫の高校進学のタイミングで夫が亡くなって私が一人になったこともあり、息子夫婦が海外に赴任している間は私の家で孫が一緒に生活をしてくれることになり、大学を卒業し就職した今でも一緒に住んでくれています。 孫が学生のうちに何度か帰国していた息子夫婦ですが、孫の就職を機にそのまま海外に在住することに決めたようです。 息子夫婦とはたまにしか会えなくなることはとても寂しいのですが、嬉しいことに孫は町田の近くに就職したこともあり、しばらくはまだ一緒に暮らしてくれると言ってくれています。 私も高齢なので、急な体調不良などで迷惑をかけるのではと心配なのですが、孫は何かあったときにすぐに対応できるから逆に安心してほしいと言ってくれます。 ですから、私に何かあったときに少しでも孫の負担を減らせるように、資産などの対応をしておきたいと考えました。 私の資産は亡くなった夫が残してくれた町田の自宅と預貯金です。 海外に住む息子夫婦は、私の財産なので好きなようにすればいいし、私に何かあったときは援助してくれると言ってくれているのですが、遠く離れた息子夫婦に負担をかけたくありませんし、もし入院するようなことになったとしても自分の資産で賄えると思っています。残った分は、できれば一緒に住んでくれている孫に譲るつもりです。どのように遺言などを残せば、孫に負担なく私の資産を残すことができるのでしょうか。 A:家族信託で親族への負担を減らすための対策 高齢者の一人暮らしは、今の世の中では何かと物騒ですので、お孫さんが一緒に暮らしてくれていると安心ですし、いろいろと助かることでしょう。優しいお孫さんの負担にならないように資産を譲る方法について、気を付けたいことなどを合わせて解説していきますので、是非参考になさってください。 まず、ご自宅をお孫さんに残したいということから、遺言を残す方法を考えていらっしゃるようですが、これだと亡くなった後のことを決めるだけになってしまいます。 例えばですが、もしTさんが認知症を発症したとします。進行が早かったりして何も手続きを行うことができていない状態で施設に入所することになった場合、入所の手続きをお孫さんが行ってくれたとして、その費用の負担をかけることになってしまいます。 Tさんの預貯金やご自宅を売却して入所費用にあてることは、基本的にはTさんご本人にしかできないことなので、勝手にお孫さんがTさんの貯金を下ろして支払いするようなことができないのです。認知症などで認定機能の低下が認められてしまうと、資産は凍結されてしまい、親族といえども簡単に動かすことができなくなります。 Tさんがご自身の資産でやりくりしたいとお考えならば、遺言ではなく、存命のうちに家族に資産を託すことができる『家族信託』という方法をおすすめします。 家族信託とは、「家族が家族のために結ぶ信託」で、高齢者や障がい者のための財産管理や資産の継承対策として注目されている信託です。 信託銀行などに資産を預けず、自分が最も信頼できる家族や親族に財産を託して、自分の希望するかたちでその財産の管理や運用をお願いすることができるので、費用を抑えて柔軟な対応をとることができるのが特徴です。 誰に、いつ、どのように、と資産運用を預ける人の希望に合わせて信託内容を指定することができるので、預ける方も預かった親族も納得して信託契約を結ぶことができます。 では、家族信託について詳しく解説していきます。家族信託に登場する3つの役割について、専門用語などを説明します。 ①大切な財産を託す人(委託者)・・・Tさん ②託された財産を管理・運営する人(受託者)・・・お孫さん ③託された財産の利益を受け取る人(受益者)・・・Tさん 老後の健康リスクへの対策として家族信託を考えたとき、この③は委託する人=受益する人となるケースが多いです。Tさんが認知症と診断されたときや認定能力の低下が認められた場合、通院費や生活費にTさんの資産をお孫さんが使っても良いと決めておくことで、お孫さんの判断でTさんの資産を管理運用することができるのが、この信託契約なのです。 施設に入所することになってご自宅が空き家になったとしても、この信託契約があれば、お孫さんの判断でご自宅を売却してその売却資金をTさんの入所費用や生活費に充てることができるので、最近問題になっている空き家問題にも活用できます。 遺言で、亡くなったあとに資産を残すのではなく、生前に信頼できるお孫さんに資産を託すことによって、安心した老後を過ごすことができると思います。 お孫さんや息子さんご夫婦に負担をかけることなく、資産を整理し安心した生活を続けるためにも、元気なうちにご家族と相談して資産の管理を検討されると良いでしょう。 また、家族信託を検討される際には、専門家の意見も参考にすることが大切です。信託専門の弁護士や司法書士に相談することで、より適切な信託契約を結ぶことができます。 信託契約を結ぶ際には、具体的な信託内容を明確にし、すべての関係者が納得できる形で進めることが大切です。また、家族信託のメリットやデメリットも把握し、ご自身の状況に合った最適な方法を選択してください。 家族信託を活用することで、老後の資産管理や継承対策を円滑に進めることができます。お孫さんへの負担を軽減し、安心して資産を託すことができるよう、家族信託の活用を検討してみてください。
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【相模原】株の相続と遺留分を家族信託で解決
Q: 孫に相続させたいが親族が心配な(相模原市)Sさんからのご相談例 私はもうすぐ80歳になります。定年した夫と二人で相模原に住んでいます。息子と娘がいましたが、先日、娘が事故に巻き込まれ亡くなってしまいました。娘には、まだ小さい息子がひとりおり、私たちにとっては孫にあたる子なのですが、今は孫の父親である娘の夫の実家で過ごしています。 私たち夫婦は病気もなく日々過ごしていたので、これからのことをあまり考えたことがなかったのですが、これを機に先のことを考え、遺言でも残そうかと思いました。 息子は結婚しておらず、子どもがいません。自分で会社を経営しており、うまくやっているようです。私たち夫婦に何かあったときは、息子にすべて譲ることになるでしょうが、息子に子どもがいない場合、息子が亡くなったあと、その財産はどうなるのでしょうか。 できれば、育てることができなかった娘の代わりに少しでも孫のために財産を残してあげたいのですが、娘の夫はお金の使い方が少しルーズなようで、自分で立ち上げた事業がうまくいっていないようで何度も借金を繰り返しており、生前の娘からは何度か相談を受けたことがあるため、使い込まれないか心配です。 孫を大切に育ててくれているならば、そのお礼と思って預けるべきなのかもしれませんが、それで孫が将来困るようなことになっては、娘に顔向けできません。 どうすれば、安心して孫に財産を譲ることができますか。 A: 家族信託で孫に財産を残す方法 まず、遺言を残す方法で対応した場合はどうなるか解説します。 Sさんご夫婦が亡くなる前に、遺言を作成しましょう。遺言は、自分の死後、財産をどのように残したいかを示すものなので、一部の財産を孫に残す旨を記した遺言を作成したとします。 遺言に従って、お孫さんにその財産が渡ったとしても、お孫さんがまだ小さく自分の資産を管理できない年頃ならば、お孫さんの親権者である父親がその財産を管理することになります。きちんと管理して、お孫さんのために使ってくれれば良いのですが、残念なことに監査などを設定しない限り用途を監視することは難しいでしょう。 Sさん夫婦もすでに亡くなったあとの話になるので、Sさんご夫婦は確認することもできず、お孫さんの父親を信じるしかありません。しかし、お話で伺うかぎりでは金銭面にルーズな方のようなので、信じて預けることは難しいでしょう。 お孫さんを育ててくれているお礼として渡したとしても、ルーズな性格から遺産を使い込み、それでも立ち行かなくなったときにお孫さんの生活がままならなくなってしまっては困ります。遺言は、安心してお孫さんに遺産を渡すことができる方法とはいえないでしょう。 このような事例を解決できるのが「家族信託」です。 家族信託とは、信頼できる親族に資産を託して管理してもらう信託契約です。お金の用途や渡すタイミングを指定することができるので、今回のケースでは最適だと考えます。 財産を託す相手ですが、お孫さんの父親では信頼できる相手と思えないならば、息子さんにお願いするのはどうでしょうか。 信託を依頼する人を委託者といい、Sご夫婦とします。資産を預かり管理してくる人を受託者といい、息子さんとします。お金の用途は、お孫さんの生活費や教育費、例えば大学進学費用、結婚資金などと指定します。用途を指定したことで、お孫さんは必要なときにお金を息子さんから受け取ることができるので、生活に困る心配はなくなるでしょう。 お孫さんが小さい間は親権者である父親が、実際にはお金を受け取ることになるでしょうが、決められた額のお金しか受け取ることができないため、一度に浪費されることはありません。遺言のように一度に渡すことがないので、全額使いこまれるという危険を防ぐことができるのです。 また、この信託で息子さんに預けるお金は、息子さんがご自身で所有されている財産とは法律上分離されるので、息子さんの会社が不渡りを出すようなことが起こっても信託財産は守られるので安心です。 必要に応じて、お金が適切に管理されているかを確認する信託監督人を設定することもできます。まとまったお金をお孫さんに渡したとき、そのお金が正しく使えるように見守ることもできます。 この家族信託は、信託する人たちが元気なあいだでないと結ぶことができません。Sさんご夫婦が認知症などを発症し、判断能力に問題があると認定されてしまうと契約することができません。Sさんご夫婦がご元気な間に、息子さんと話し合って、お孫さんを見守る方法を考えることが大切です。 母親を亡くして寂しい思いをしているであろうお孫さんの将来を心配してくれる優しい祖父母の思いが、きちんとかたちになって伝わることを切に願っています。
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【町田市】実家の空き家問題を家族信託で解決
Q:実家が空き家になった場合の対処方法を考えている(町田市)Rさんからのご相談例 友人の話になるのですが、両親が共に認知症で施設に入所してしまったため、実家が空き家になってしまいました。 実家はお父さん名義なのですが、もし何かあったときは自宅を売却しても良いよと、お父さんが元気な頃に話をしたことがあったそうです。 施設に入所してからも、通院などいろいろと支払いがあるし、固定資産税の支払いや、庭や家屋の維持のために定期的に通うのも大変だから売ってしまおうと考えたが、お父さんの代わりに手続きができず、いまだに空き家のままで困っているそうです。 わたしの両親も同じくらいの年頃で、先日母が認知症と診断されました。 最近、進行が進んできたので、父一人では介護を続けるには困難だということで施設を探し始めたところです。 父になにかあったときは、実家の管理ぐらいなら通ってできるだろうと考えていましたが、今回の友人の話を聞いて、これからの両親との関わり方についていろいろと考え直すことがありました。 父には実家を売却して、わたしのもとに来るか、近くの住みやすいマンションなどへの引っ越しを提案しましたが、まだ身体も元気なこともあって、思い出の多い実家から離れることをよしとしません。 母が入所してしまうとひとりになってしまう父が心配ではありますが、実家は相模原にあり、町田から通うことに不便はありません。 わたしの仕事の都合もあってそう頻繁に通うことはできませんが、たまに顔を出すことはできると思うのでしばらくはそうするつもりです。 年をとった父親の望みを叶えてあげたいのですが、空き家を管理することの大変さを考えると、今のうちになんらかの対策ができればと思っています。 A:家族信託による空き家問題の対策 ご友人のお話のように、お父さまが御元気なときに「何かあったときは家を売っていいよ」とお話されていても、実際、お父さまが認知症になり、いざお話していたタイミングになったから売却しようとしたらできなかったということがよく起こっています。 この「空き家問題」を解決するには、さまざまな手続きや手間が必要となります。 まず、なぜ子どもが代わりに売買できないのかを解説しましょう。 家などの不動産を売買するには、名義人の意思決定が必要です。 しかし、認知症を発症してしまうと、この判断能力が劣るとみなされるため、残念ながら売却手続きを行ったとしても無効となってしまうのです。 認知症の方の代わりに成年後見人という、判断能力がなくなったひとのために手続きを代行することができる制度もあります。 家庭裁判所が選任するのですが、この成年後見人をつけたとしても売却の手続きは簡単に行えるものではなく、自宅などの不動産売却には家庭裁判所の許可が必要です。 許可が出るとすれば、お父さまのためにどうしてもお金が必要で、自宅を売却しなければ困るなどの理由があるときです。 そのため、管理に手間がかかるから手放したいなどという理由ではなかなか許可が下りず、結果として自宅の売却ができなくて困ってしまうことになります。 ですから、今回のようなケースでは【家族信託】の活用をおすすめします。 家族信託とは、その名の通り「信頼できる家族」に財産を「信じて託す」という信託契約です。 お父さまとRさんの間で、家族信託を結ぶのが良いでしょう。 依頼主をお父さまとした信託契約で、受託するのはRさんです。 信託契約を結ぶことで、自宅の管理をRさんも行うことができるので、お父さまがもし認知症などを発症し入所されたとき、ご自宅の売却をRさんの判断で行うことができます。 お父さまに判断能力がなくなったとされても、成年後見人がいなくても、家庭裁判所を通すことなく手続きすることができるので、とても楽です。 売却したお金はRさんが受け取りますが、その使い道をお父さまと決めておくことができます。 例えば、お父さまの施設での生活費や通院などにかかる費用に使うなどです。 売却したお金をお父さまやお母さまの上記の費用のために使用すると設定しておけば、万が一お父さまが先に亡くなられたとしても、お母さまのために使うことができます。 第一受益者にお父さま、第二受益者にお母さまとしておき、お母さまが亡くなったときを信託終了とすれば、お父さまもお母さまも安心して暮らしていけるのではないでしょうか。 お父さまが認知症となってからでは、この信託契約を結ぶことはできないので、ご友人の問題解決には繋がらないのですが、Rさんはまだお父さまが御元気でいらっしゃるとのことなので、早めに家族信託を活用した対策をとられると良いでしょう。
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【相模原】株の相続と遺留分を家族信託で解決
Q:株を譲りたいが遺留分が心配な(相模原市)Oさんからのご相談例 わたしは、規模は小さいですが株式会社を経営しております。 家族は、数年前に妻を亡くしましたが、こどもがふたりいます。 現在はわたしの会社に勤務している息子夫婦の家で同居しており、都内に嫁いだ娘は、家業とは関わることなく生活してきました。 そろそろ息子に後継者として引き継いでいこうと、業務を任せることも増えてきたので、今後のことを検討することにしました。 わたしが亡くなったときは、人事のこともあるので、会社の株はすべて息子に譲りたいと考えています。 しかし、わたしには経営している会社の株以外、残せるような財産がありません。 妻の闘病が長かったため、預貯金のほとんどを入院費や介護費などに充てたため、残せるような現金がそれほどありません。 そのため、会社の株を息子に譲った場合、娘から遺留分を請求されたときはどうすればいいか悩んでいます。 わたしの預貯金は少なく、息子はわたしと一緒に住めるように家を建ててくれたローンがあり、子どもも生まれたところなので遺留分を支払うことは難しいでしょう。 株を少し渡すことも考えたのですが、会社が小さいこともあり、経営や人事のことを考えると、できれば、会社に関わっていない娘に株を渡して経営権を分散させるようなことは避けたいと思っています。 娘の夫が同じ系統の職種についていることもあり、娘はそうでなくても、娘の夫が進んで経営に関わってきてなんらかの揉め事になるようなことが想定されるようなことは回避したいのです。 株を分散させることなく、遺留分について対策できるいい方法があれば教えてください。 A:家族信託による事業継承の遺留分対策 遺言などで株などの財産を息子さんだけに譲るとします。 そうすると、同じOさんのこどもなのに、息子さんはもらえて自分だけ遺産がもらえないのはおかしい!と娘さんは納得がいかず不満に思うかもしれません。 そうすると、[遺留分]という「最低限度の財産」を娘さんも受け取ることができる法律があるので、それを請求する権利があるのです。 娘さんに遺留分を請求されたとき、相続している息子さんは娘さんに対して、受け取った遺産を法律で決められた分を配分しなければいけません。 株だけ譲り受けていた場合は、その株の一部を譲渡することもできるのですが、株を分散させたくないならばそれ相応の現金を代わりにわたす必要があります。 息子さんが安心して経営していくために、株を売るつもりも手放すつもりもないならば、会社の規模によって金額の差がありますが、ある程度のお金が必要になるでしょう。 そうなると、息子さんは金銭的負担を生じ、会社の経営に支障をきたす可能性も出てきます。 ですから、会社を代替えするときには、遺留分についても事前に確認することがとても大切なのです。 株には二種類の機能があり、Oさんの心配されているような「人事権」=会社の人事に関する権限をもち経営判断する機能と、「受益権」=株の配当や売却による利益を得る権利というものがあります。 この機能をわけて考えることで、相続するひとが求めるかたちに整えることができるのが【家族信託】です。 息子さんが後継者として会社経営に関わっていくならば、この「人事権」は手放すことができない権利です。 人事権を掌握してない状態で社長に就任すると、いつ役職を下ろされるかわからない状態では安心することができないでしょうから、安定した経営を続けるには後継者が株を所有しているということがポイントとなります。 財産的価値があるのは、株の「受益権」の機能のほうです。 遺留分を請求された際に、こちらの「お金をもらえる権利の一部」を娘さんに譲り、収益を受け取れるようにします。 このように娘さんが遺留分相当の金額を受け取れるように設定すれば、株そのものを譲ることなく対応することができるのです。 家族信託を使った信託の内容としては、以下の通りです。 Oさんの所有する株を信託財産とし、信託契約を結びます。 財産を託したいと依頼する[委託者]がOさんです。 信託財産である株を託された[受託者]である息子さんが、株を管理して後継者として会社運営を行います。 株の売買や配当金などの収益を受け取る[受益者]は、信託設定時はOさんとして、Oさんが亡くなったあとは息子さんと娘さんが[受益者]となるように信託契約を定めましょう。 遺留分に対応するぐらいの収益を娘さんが受け取れるように設定すれば、遺留分減殺請求をされる可能性も少なくなります。 このように家族信託を用いることで、株を分配することを回避しつつ、息子さんは遺留分相当の多額な金銭を用意する必要もなく、遺留分に対応した事業継承をおこなうことができます。 遺留分のトラブルを防ぐことによって、姉弟間の関係が壊れることも防ぐことができます。 家族信託を活用して、遺留分にも対応しましょう。
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【町田市】こどもたちに共同で不動産の管理を任せたい悩みを家族信託で解決
Q:高齢になったご主人の所有する不動産の管理を子供に任せたい(町田市)Jさんからのご相談例 主人は資産家で、マンション1棟と自宅を兼ねた商業施設の入ったビルを所有しています。主人は80代になってから物忘れが多くなってきたように思えるので、夫婦で相談してできれば早いうちに相続対策を行いたいと考えています。 基本的に主人が所有しているすべての不動産を管理していて、税金などの支払いも主人が行っているのですが、主人が動けなくなった場合を考えると心配です。 わたしが手伝うことも検討したのですが、わたし自身も高齢なので健康面に不安もあるので、できればこどもたちに託したいと思っています。 わたしたち夫婦には、子供が二人おりまして、姉である長女はまだ結婚しておらず、主人の所有しているマンションの一室を借りて住んでいます。 弟の長男は、結婚していて同じ町田市に戸建てを購入し、孫とともに暮らしています。 管理修繕や税金の支払いなどの管理を、どちらかひとりに任せるには負担が大きいと思うので、しばらくは姉弟ふたりで協力して管理をしてもらえるかたちが理想です。 共有で相続する場合に気をつけるべきことなど、なにかありますか。 身内だけで全部の手続きが済むようなら、できればそうしたいです。 A:家族信託で効率よく不動産を相続する まず、ご主人が遺言を使うかたちでの相続について解説していきます。 遺言は、亡くなってからの相続について記すものなので、ご主人がご存命の今、所有している不動産の管理を託すことには使えません。 遺言とは「わたしが死んだあとは、誰々にこれを譲る」と指定するものです。 信託を利用することなく遺言書を作成するだけだと、配偶者であるJさんにすべての財産を相続させることなどは可能ですが、Jさんが亡くなったあとのことを指定するためには、Jさんが遺言書を作成し資産の分割方法と相続先を指定しなければいけません。Jさんが遺言書を残さなかった場合は長女と長男で話し合って財産の分与を行うことになります。 また、ご主人が認知症などで判断能力の低下を診断された場合だと、後見人がすべての不動産を管理することとなるので、長女と長男のふたりで共同管理することは基本的にできず、施設入所などでお金が必要になったときにマンションなどを売却するにも、家庭裁判所の許可が必要となるなど、簡単に資産管理することができません。 また、不動産の管理に慣れることを目的として子どもたちに共同で管理を任せたいと考えていらっしゃるとのことですが、共同で管理を行うことは可能ですが推奨できません。 資産の売却や管理などの運営を行う際、共同管理者の相互の意思疎通や連携が必要となります。その運用に重要な意思決定や迅速な対応に迫られた場合、なんらかのトラブルに発展しかねません。 また共同で管理すると、誰かひとりの債務も連帯責任として共同で追うことになるなど、デメリットが多いからです。 ですから、共同で管理をするのではなく、資産をそれぞれに託したり、どちらかに託して、もう一人に監督してもらうなどの方法が良いでしょう。 弊所からの提案 Jさんご夫婦が希望される相続方法を実現するためには、家族信託を活用するのが良いでしょう。 今回は、長女がマンション、長男がご自宅兼用商業施設の入ったビルを管理するという2つの信託契約を結ぶことを提案しました。 まず、信託する財産はマンション、自宅兼用商業施設の入ったビル及び現金です。 信託を依頼するのはご主人さまで、不動産の収益は生活するのに必要ということで、そのままご主人が受け取り、ご主人が亡くなったあとはJさんが受け取れるようにします。 以上の内容から、信託契約の構成はこのようなかたちになります。 契約1 【信託財産】マンション、現金 【委託者】ご主人 【受託者】長女 【受益者】ご主人→Jさん→長女 契約2 【信託財産】自宅兼用商業施設の入ったビル、現金 【委託者】ご主人 【受託者】長男 【受益者】ご主人→Jさん→長男 ご主人が不動産管理の相談が受けられるうちは、姉弟にそれぞれ管理してもらって、ご主人が監督しながら収益を受け取ります。 共同で管理した場合、双方の合意がないと手続きをすすめることができないのですが、それぞれで管理するので経験のあるご主人が協力することで運営を学び、最終的には子どもだけでも管理できるようにするのが目的です。 受益者ですが、第一受益者であるご主人が亡くなったあとのJさんの生活を保障するために、第二受益者をJさんに設定すると良いでしょう。 Jさんが認知症などを発症した場合でも、お子さんたちが代わりに不動産収益を使ってスムーズに対応することができます。 Jさんご夫婦が施設に入所することになったときは、自宅ビルかマンションを売却して入所資金にあてるなど、どのような場合にはどのような資産をあてるかなど、事前に話し合って余計なトラブルを回避するのが良いでしょう。 あと、Jさんが亡くなったあとですが、その時点で信託契約は終結し、それぞれが託された資産の収益を受け取ることになります。 老朽化による建て替えや大規模修繕が必要となった場合、共同管理者の意見が合わないと手続きが行えずトラブルになるという可能性もなく、各自の意思決定で管理を行うことができます。 もし、ご主人の体調面などが心配だと思われるなら、受託者の管理役として「信託監督人」や「受益者代理人」などに姉弟を設定するという方法もあります。 「信託監督人=受託者の財産管理方法などを監視監督するひと」や「受益者代理人=信託契約の変更や受託者の解任などの受益者が有している管理者的な役割を代行するひと」は、本来受益者の監督役であり、信託契約で設定することができるものです。 姉弟のそれぞれの信託契約に、互いがその役割につくことで、受託者の管理だけではなく相談役として協力することが可能となります。 困ったとき助け合える関係を作ることができるので、検討してみてはいかがでしょうか。 Jさんご夫婦で相談して相続のかたちを決めることによって、お子さまたちも納得して不動産の管理などの相続手続きに協力することができます。 ご家族で協力して資産を守っていけるよう、しっかりとした相続計画をたてることが家族の幸せを守ることにも繋がっていきます。
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【相模原市】障害のある子供の生活保障を家族信託でその兄妹に託したい
Q:(相模原市)Gさんからのご相談例 わたしには40代と30代の娘がふたりいます。長女は生まれつき遺伝子の障害を持っており、自立した生活を送るのは難しく、わたしの所有する実家で共に生活しています。 長女の世話を中心で行っていた妻が亡くなってからは、周りの手を借りながらわたしが面倒をみています。 自分で世話ができるかぎり長女の面倒をみるつもりでいますが、わたしも年をとってきて身体が思うように動かなくなってして、これからのことが心配になってきて、もし万が一のことがあった場合は、次女に手伝ってほしいと考えています。 しかし、次女はすでに結婚して家を出ており、まだ小さい子供もいるので、わたしが現在行っているような世話をすることは難しいとわかっています。 次女には次女の生活があるので、次女に過度な負担をかけることなく長女の生活を保障するような、なにか良い方法はないでしょうか。 A:家族信託による障害のあるこどもの生活を保障する対策 ひとりで障害のあるお子様のお世話をしていると、将来のことが不安になるかたは多いです。 ここで問題となるのは、障害をもつ長女さんに対して、お父さまであるGさんの遺言では長期的に財産の給付を行うことが難しいということです。 また、後見人制度では、Gさんが万が一認知症などを発症して長女さんのお世話を行うことが難しくなった場合、Gさんの財産を維持することが重要とされてしまうため、長女さんに対する生活の保障という点では心配です。 Gさんと長女さんふたりに対して後見人制度の利用も検討しなければいけませんが、現状はGさんもお元気な状況なので、利用は難しく、長女にも現段階で後見制度を利用するのはご家族のご意向と費用の面で断念致しました。 長期に渡っての保障を考慮し、必要コストを抑えた方法としてご提案できるのは『家族信託』という信託契約を活用する方法です。 『家族信託』とは、財産を『信用できる家族』に託す契約で、遺言と違い生前から活用できるシステムです。 Gさんの財産を、長女さんに対して使ってもらう約束で、次女さんに託すというものです。 それでは詳しくわかりやすく説明していきます。 信託契約をお願いする人を『委託者』といい、Gさんがそれに該当します。 信託する財産は、Gさんの所有する自宅や貯金などの資産とします。 その資産を預かって活用する人を『受託者』といい、次女さんに担ってもらいます。 もし、Gさんが認知症を発症したり、亡くなってしまった場合、その資産を長女さんのために使ってもらえるように、『受益者』はまずGさんに、Gさんが亡くなったあとは長女さんが定期的に財産の給付を受けれるように指定しておきましょう。 また、次女さんに対して、長女さんの世話をする人を選定して訪問介護などの契約ができるようにしておくようにしましょう。 これで、長女さんは定期的な収入を得て次女さんが選んだ人に介護してもらうことができ、次女さんはGさんの資産を管理するというかたちで協力するかたちになるので、介護などの過度な負担がかかることなく自分の生活を過ごすことができます。 資産に長女さんの生活や介護にかかる費用以上に余裕があるようなら、次女さんに対しても一定の報酬を支払うことができれば、次女さん的にも長女さんのために資産管理をすることについて責任をもって行うことができるでしょう。 Gさんの判断能力に低下がみられたりすると、このような信託契約を結ぶことが難しくなり、Gさんの代わりに次女さんが資産を管理してGさんの通院費や長女さんの生活費などを捻出することもできないので、Gさんがお元気な間に、娘さんたちと将来のことについて相談してはいかがでしょうか。
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【相模原市】こどもがいない夫婦が悩む相続問題を家族信託で解決
Q:夫の次は自分の甥に相続させたい(相模原市)Bさんからのご相談例 うちには子どもがいません。今は夫と二人で相模原にある自宅で暮らししています。 わたしが祖母から受け継いだ土地が町田にあって、その土地を借地として人に貸しているので、毎月入ってくる賃料で生活しています。 夫もわたしも年金がもらえる年齢になったので、これを機に相続について考えることにしました。 はじめに言ったとおり、わたしは子どもに恵まれなかったので、もし、わたしが先に亡くなってしまったとしたら、土地は夫に相続してほしいと考えています。 しかし、土地を相続した夫が亡くなってしまったあとのことを考えて、悩んでいます。 夫には弟がひとりいるのですが、ご両親が亡くなった時に揉めてしまい、それから疎遠になっています。 金銭面にルーズな性格をされているようで、多額の借金があったのをご両親が預貯金から代わりに返済したことがあり、相続のときにもひと悶着あったようです。 そのような経緯があったため、大好きだった祖母から譲り受けた大事な土地を夫の弟一家に譲ることに抵抗があります。 わたしにも妹がいたのですが、妹は何年か前に亡くなっているので、その息子の甥に譲れたらと思っています。 妹が亡くなったときも、ずっと妹の看病でそばに付き添ってくれた心優しい甥なので、きっと祖母の土地も大切にしてくれるでしょう。 夫は遺産を弟一家に渡すつもりはないから、もし夫が亡くなった場合は甥に残す旨の遺言を作成するつもりだと言っていますが、わたしが亡くなったあとの話なので、いつどうなるかわからないため不安があります。 わたしが土地を夫に遺す遺言を作成するときに、そのあとを甥に託したいと記しておけば大丈夫でしょうか。 祖母から受け継いだ大事な土地を、夫の親族に譲ることは防ぎたいです。 どのような方法がありますか? A:家族信託による信頼できる家族に託して財産流出を防ぐ 子どものいないご夫婦の間では、お互いを相続人として遺言を作成することが多いです。 しかし、今回のような場合は、遺言では解決することがなかなか難しいです。 まず、Bさんが遺す遺言は「わたしが亡くなったあとは、土地を夫に遺します」というものになります。 遺言は自分が亡くなったあと、誰に譲りたいかを指示するものなので、「夫が亡くなったあとは甥に相続してほしい」とその次を指定することができません。 夫も「自分が亡くなったあとは、妻のBさんに譲る」と遺言を遺していたとしても、土地を相続したときにはBさんが亡くなったあとなので、この遺言は無効となってしまい、夫の資産は弟一家が相続することになります。 夫さんが、自分が亡くなった後に遺産を甥さんに譲りたい場合は、新たに「自分が亡くなった時は、土地を甥に譲る」という遺言を別に作成する必要があります。 遺言でBさんの土地を夫→甥に相続させるなら、この手順になるのですが、遺言というのは書き換えることも書き忘れることもあるので、確実に希望通りの相続ができるというものではありません。 Bさんの土地を夫の弟さんが相続することを防ぎ、無事に甥に遺すためには遺言ではなく家族信託を活用するのが良いでしょう。 家族信託とは、信託銀行を通さず個人間でする信託で、信託といいますが、投資信託のようなものではありません。 自分が財産を管理できなくなったときに備えて、信頼できる家族や親族に、自分の財産を守ってもらう契約です。 この契約を結ぶことによって、もし自分が病気になっても、亡くなったとしても、自分の大切なひとを守ることができるのです。 家族信託では、次の役割を決めます。 資産を託したい人・・・委託者 資産を託される人、管理していく人・・・受託者 資産を託されることで利益を受ける人・・・受益者 この受益者は、遺言とは違い、何世代も先のことも指定できるので、自分が亡くなったら夫へ、夫がなくなったら甥へと指定することができる、そんな契約もできるのです。 作成については家族信託の専門家に相談して、実現したい想いを伝えて契約書を作ってもらい、それを公正証書にしてもらいましょう。 それでは、どのような内容の契約書を作成すれば良いか、確認しましょう。 今回ポイントとなるのは、Bさんが所有する土地の賃料を Bさん→夫→甥 という順番に受け取れるようにすることでしょう。 ここでおすすめしたいのは、受託者を夫ではなく甥にすることです。 名義がBさんのままだと、Bさんが亡くなったとき、相続の手続きが必要となります。受託者を夫にした場合でも、夫が亡くなったときに同じように相続の手続きが必要です。 受託者を甥に設定し、土地の名義を甥に移しておけば、Bさんや夫が亡くなっても相続手続きは必要なくなります。 登記簿には信託で名義が移った記録がのこります。 委託者はBさんです。 第一受益者をBさん、第二受益者を夫としておき、夫が亡くなった時点で信託契約を終わるようにします。 信託契約に設定しておくことで、Bさんがお元気なうちは今までとおりBさんが賃料を受け取り、Bさんが亡くなったときは代わりに夫が受け取れるようになります。 夫が亡くなったら信託契約は終了するので、その土地は名義人の甥が受け継ぐことができ、夫の弟一家に渡ることはありません。 家族信託は信頼できる家族を選んで託すことができるものです。 思い出のある大好きなご先祖より受け継いだ土地を、大事な家族に受け継いでもらえるように家族信託を活用してください。
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【町田市】合意した遺産分配を家族信託で明確にしたい
Q:父の望む遺産の分け方をきちんとしたかたちにしたい(町田市)Iさんからのご相談例 先日、母の三回忌に家族みんなが集まる機会がありました。そのとき、父より財産の分配について家族でしっかり話し合っておきたいという提案がありました。 父は以前脳溢血で倒れた際、半身に麻痺が残ってしまったため、日常生活のお手伝いが必要となりました。 母が亡くなってからは、近くに住んでいたわたしの妹夫婦が同居してくれています。 日頃から妹に負担をかけているし介護費用もかかることもあるので、父としては妹に多く遺産を残したいという話でした。 長男であるわたしは、仕事の関係で海外に赴任することが多く、父のことを妹に任せたままになってしまっていることを心苦しく思っていたこともあるので、父の望む通りのかたちで相続をまとめたいと考えています。 父の資産は、自宅を含む不動産が二軒と預貯金になります。 わたしとしては遺産放棄でも良いのですが、父としてはなんらかのものは残したいと思っているようで、自宅と預貯金を妹に、不動産の1軒をわたしに相続してもらいたいそうです。 妹夫婦も父の望むようにすればいいと言っているので、父が元気な今のうちにきちんとしたかたちにしておきたいと思っています。 どのようなかたちにすればいいのか、なんらかの問題がないのかなど知りたいです。 A:家族信託による生前に行う遺産分割の方法 日頃、介助などで世話になっている娘に多く資産を残したいというお父様の希望を、お父様のお元気なうちにかたちにしたいという息子さん。 仲の良い家族がみんなで相談して決めた相続のかたちをしっかりしたものにするための手続きとして 家族信託をおすすめします。 遺言ではなく、推定相続人(この場合ですと長男のIさんと、妹さん)が合意したものを文書にしただけでは法律上で無効となります。 お父様に、家族みんなが合意した内容を記した遺言書を作成してもらうことで、相続のかたちを作ることもできますが、遺言はいつでも書き換えたり撤回することができてしまうので、きちんと確定したというかたちにはできません。 ですから、信託契約を活用して、生前の遺産分割協議を友好的に確定しましょう。 それでは、家族信託の内容を整理しましょう。 まず、信託するお父様の資産について。 お父様の資産は①ご自宅②不動産(現在は管理会社に管理を委託し、収益をお父様が受け取っている状態)③預貯金とします。 ①ご自宅と③預貯金は妹さんに、②不動産は息子のIさんに継いでもらいたいとお父様が希望されており、妹さんもIさんも了承されているので、それぞれをお父様と信託契約を結びましょう。 それでは、お父様と息子のIさんとの家族信託について説明します。 委託者をお父様、受託者が息子のIさんとし、受益者はお父様として信託契約を締結します。 信託する財産は②不動産です。 これで、お父様が元気な間は②不動産の収益はお父様が今までとおり受け取ることができ、万が一、お父様が認知症などで判断能力が低下した場合、管理を任せている不動産への手続きをIさんが代用することができるので、管理会社との提携更新や売却などの手続きをIさんの判断で行うことができ、その収益をお父様のために使うことができます。 Iさんの名義になっている②不動産については、、お父様が亡くなった時に終了しⅠさんに財産が帰属する内容を入れることで、収益を受け取る権利もIさんのものとなります。 続いて、お父様と妹さんとの家族信託の場合は、 委託者をお父様、受託者を妹さん、 受益者はお父様、信託財産は①ご自宅③預貯金です。 Iさんと同じように信託契約は、お父様が亡くなった時に終了し、残った財産は妹さんに帰属する内容も付け加えます。 ご自宅や預貯金はこれまで通り、お父様が使うことができますし、もしお父様が入院したり認知症を発症したとしても、生活費や入院費などの支払いを、妹さんが委託された財産を管理して支払ってもらうことができるので、妹さんに金銭的負担をかけることなく安心して生活していくことができます。 残った財産は妹さんが相続するので、日頃介助などで世話になっている娘さんに、息子さんより多くの資産を譲ることができます。 また、それぞれの信託契約に「内容の変更はできない」という旨を定めておくことも重要です。 この家族信託は、生前の財産管理機能と遺言の代替機能を備えた内容となっており、家族の合意のもとに決めた内容を誰かひとりの判断で変更もできなくなっているので、将来の遺産分割内容を確定する効果もあります。 きちんとしたかたちにすることで、お父様も安心して生活することができ、妹さんも不安なく介護でき、Iさんも家族を気にすることなく海外でのお仕事を邁進することができるのではないでしょうか。 合意のあいだにしっかりとしたかたちを整え、家族信託を活用して、仲良く家族で暮らしていける環境を作っておきましょう。
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【町田市】親の生活費と実家の管理を家族信託で解決
Q:離れた実家に一人で暮らしている母を心配する、(町田市)Fさんからのご相談例 母は町田市にある実家で一人暮らしをしています。父を早くに亡くしたのですが、遺してくれた自宅があったので、母ひとり子一人でなんとか支えあって生活してきました。 このたび、わたしの結婚が決まったので、夜勤の多い仕事の関係もあって茅ヶ崎に新居を構える予定でいます。 高齢になった母を一人にするのも心配ですし、自宅の老朽化も心配なので一緒に住むことを提案したのですが、父の遺してくれた家で思い出もあるので出たくないと言っています。 身体が元気でまだ仕事もしている母なので、子育ても終わったことだし、これからひとりで自分の生活を楽しみたいという気持ちもあるようなので、母の意思を尊重するつもりです。 同じ県内ですし、わたしも休みのときなどは時々実家に様子を見に顔を出すつもりでいますが、これから先、わたしに子供が生まれたりして環境がかわったり、母の体が衰えてくることにより判断が鈍くなってくるかもしれないのが心配です。 自宅があること、多少の蓄えはあるから大丈夫だと母は言いますが、急な症状の悪化はどうすることもできないので、不便がないようにある程度の資産管理を任せたいそうです。 自分の生活に必要なお金は手元に残しておきたいが、介護費用などで必要と思われる老後用資金を貯めていますが、なにかの詐欺にひっかかってしまう気がするそうです。 母の実家の管理や安定した生活費の管理など、娘のわたしでできるのはどのようなことでしょうか。 A:家族信託を活用して実家の管理と資産管理をこどもに委託しましょう 結婚し親元を離れることによって、お母様をご実家にひとりにしてしまうとのこと。 それがお母様のご希望とはいえ、Fさんが心配されるお気持ちはよくわかります。 亡くなったお父様の遺してくれた大切な家に住み続けたいというお母様のお考えももっともだと思います。 何年か時間が過ぎれば、また考え方もかわって同居することになるかもしれませんが、お母様がご高齢ということもあって、思いもよらない事故が起こらないとは限りません。 もしお母様が認知症を発症された場合、お母様名義の資産は凍結されてしまうので、施設への入所費用や手続きや生活費などを娘のFさんが管理することになりますが、お母様名義の資産をFさんが自由に取り扱うことはすぐにはできません。 Fさんの負担にならないように、事前に管理をFさんに委託するには『家族信託』を活用するのが良いと思います。 まず、お母様の住んでいらっしゃるご実家の土地と家屋の名義、またとりあえずの生活に必要な分を除いた預金の大半を、家族信託を使って娘のFさんの名義に変更します。 この契約によって、Fさんは自分名義になった実家の土地や家屋の売却や預金を管理することができます。 そして、ご実家の土地や家屋の売却費用や預金を利用する権利はお母様のものとします。 専門的な言葉を使うと、お母様を委託者、Fさんが受託者とする家族信託契約を結びます。 そしてその収益を受ける受益者をお母様とする旨を家族信託契約に含めます。 お母様がもし認知機能の低下があると診断され残っている資産が凍結されたとしても、預金の大半をFさんの名義に変えてあるので、お母様の生活費や通院や入院にかかる医療費や、介護費用や施設入所費用をその口座から引き落として使用することができます。 信託契約によってお母様の不動産資産や預金の大半をFさんの名義に変えても、使用目的が信託契約で決められたお母様のために使われる内容であるなら贈与税がかかることはありません。 ご実家にかかる経費についてですが、名義がFさんになっているので固定資産税はFさんに請求がきますが、信託された預金から維持管理費用を支払うことができるので、Fさんの負担になることはなく、お母様も安心できると思います。 自宅売却の時期についても、お母様と相談して決めておくことは大切です。例えば亡くなるまでは置いておいてほしい、施設入居費用や介護費用が預金で足りなくなったら売却して必要な費用に充填してほしいなど、希望を契約にしておくことで余計なトラブルを回避することができます。 ひとりで暮らすお母様が必要な金額は手元に残し、管理が心配な高額な預金は娘さんに管理してもらい、いざというときに使ってもらえるようにし介護などの負担を軽減することにもなるのでお母様も娘さんも双方が安心できる内容です。 認知機能の低下が始まる前に、お母様がお元気なうちに契約しておくことをおすすめします。 最後になりましたが、Fさん ご結婚おめでとうございます。 人は誰かを守りたいと思った時に、どんな困難も乗り越えることができるそうです。 お母様を、ご主人を、互いがいつまでも「守りたい人」でありますように。 末永く幸せなご家庭を築かれることを心からお祈り申し上げます。